【SVT】for you。2 (ページ10)

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禁酒。　THE 8 ページ10

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「A、起きて」

『ん…ミョンホ…、』

「お酒禁止って言わなかった？」

仕事から帰って来ると、同棲中の彼女は机に突っ伏して眠っていた。
部屋に漂うワインの香りと、甘いチョコの香り。

お酒が好きな僕の為に、今年のバレンタインは大人の味に挑戦してみるって言ってたけど、それがこの結果。どの味にしようか試飲していて、酔ってしまったのは彼女の方。

酔うだけなら問題はない。
僕が心配してるのは、もっと別の事だ。

『ミョンホ～、ぎゅっとして』

「はいはい」

両手を広げて僕が抱きしめてくれるのを待っていてくれるA。
優しく彼女の体を抱きしめて、首元に擦り寄る。

『んっ…くすぐったい…』

「こうされるの嫌？」

『ううん…、キスして…』

「あ、うん…」

お酒のせいか、いつもより積極的で。
白い頬がほんのり染まっていて、大胆に開いた胸元にどうしても視線が行ってしまう。

しばらく彼女に触れていなかったから。

「ベッド行く？」

『……ここで、』

僕の言葉に返す反応が遅い。
甘えてくるって言うか、この体の預けようは…。

「え…眠いの？」

『……すこ…し…、』

「このまま眠られると…その…、」

僕の気持ちとは裏腹に、Aは完全に眠る体勢。
僕の背中に回していた腕が、力なく床へと落ちていく。

寝ないで、いや寝かしてはあげたいんだけど。
気持ちが盛り上がってきたのに、どうやってその熱を抑えればいいのか。

「仕方ないか…」

ため息を一つ。
Aの体を抱き上げて、ゆっくりベッドへと体を下ろした。

気持ちよさそうな寝顔。
可愛い彼女の唇に、そっと近づき。

「やっぱ、お酒は禁止。僕との時間なくなっちゃうから」とキスを落とす。

彼女の寝顔を見ながら、彼女の作ってくれたチョコを一粒。
こんなんじゃ…僕は全然酔えないよ。

僕を酔わせてくれるモノは、Aだけなんだから。