特別な日には。 VERNON ページ9
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「ヌナ…大丈夫ですか?」
『ん…、ごめんね…せっかく二人で過ごせる日なのに、私の体調が悪くて…』
「気にしないでください。水飲めますか?」
互いの仕事が忙しくて、ヌナと会えたのはバレンタインデーの今日。
約一ヶ月ぶりの再会に、少しは期待してた。
だけど…。
今朝起きてヌナからきたカトクを見れば、体調が悪いからごめんって言葉と、頭を下げてるゆるキャラの絵文字が送られてきていて、心配になった僕がヌナの家に押しかけたような状況。
『ハンソル…、チョコ手作りじゃなくてごめんね…』
「ヌナが仕事で忙しいのわかってますから。チョコをくれるだけで、僕は十分です」
『ほんとうに…ごめん…』
「ヌナ、さっきからごめんって言ってばかりですね」
『だって…、』
ベッドから体を起こそうとするヌナの手助けをしようと、ヌナの体を抱きしめて気付いた。前よりも体の線が細くなってることに。疲れたような表情をしていることに。
「仕事大変なんですか?」
『うん…、ハンソルが側にいないと、私って自分の管理もできない頼りないヌナなんだ…。ご飯食べてますか、ちゃんと睡眠とってますかって、ハンソルのカトクを見て気づく。年上なのに、しっかりしないといけないね…』
「ヌナ…」
違うよ、ヌナの変化に気づいてあげられなかったのは自分の方だ。
会いたい、抱きしめたい、って、そんな文字を本当は打ちたいのに。
差し障りのない言葉ばかり送ってしまう。
それなのに僕はヌナに…。
『ハンソル?』
「ヌナだけじゃないです…。僕だってヌナが側にいてくれないと、本当はダメな人間で。ヌナの体調が悪いってわかってるのに押しかけて来たりして…迷惑かけてごめんなさい…」
『私に会いたかったんだよね?私も、ハンソルに会いたかった……。だから来てくれてありがとう』
ごめんから、ありがとうにヌナの言葉がかわった。
その言葉の違いだけで、単純だけど僕の心が嬉しくなる。
ヌナも僕と同じ気持ちだったんだって。
「ヌナ…、あの、隣に寝てもいいですか?」
『何にもしない?』
「しませんよ!ただヌナと過ごせる時間を、ヌナを抱きしめて過ごしたいだけです」
いいよ、と僕の入るスペースを空けてくれるヌナ。
特別な日に、特別な彼女と。
何もしない時間も、隣に好きな彼女がいるならそれでいい。
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作者名:bluemoon | 作成日時:2021年1月31日 21時