【SVT】for you。2 (ページ8)

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両想い。　S.COUPS ページ8

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バレンタインデーには、毎年幼なじみのAがチョコをくれる。
渡すときに決まって言う台詞と共に。

「ええっと…これって、」

『何？毎年あげてるでしょう』

「それはそうなんだけど…」

『要らないの？』

「いるよ！あの…ありがとう」

戸惑う俺の顔を見て、Aは何も言わずソファーに座ると携帯を弄り出す。
俺に対しての塩対応な彼女の反応は、通常通り。

じゃあ何が違うのか。
その違和感に、渡したAは気づかないのか？

「あのさ…いつものないのか？」

『いつものって？』

「いや、その…」

俺の口からは言いたくない。
幼なじみの関係が長かったから、ずっとこの関係は続くと思ってたけど…。

今年こそは違う台詞を言ってくれるんじゃないかって、毎年期待しては裏切られて。それでも俺から告白するには、勇気がなくて。

『スンチョルは言って欲しいわけ？』

「言って欲しい訳じゃない…。けど言ってくれないと、今年は違うのかって期待もする」

『期待しても…いいかもよ…』

俺の顔を見たAは赤い顔をして、そう呟いた。

聞き逃す距離でもない。
むしろ、何を言ってくれるのかと期待していた俺は、Aの言葉に耳を傾けていたぐらいだ。

「これって本命チョコ？」

『うん……スンチョルに渡していたチョコは毎年本命チョコだけど…』

「え…！？」

『そんなに驚くこと？チョコに…好きって書いてあるのに…？』

「けどさ、義理チョコだからって毎年言われて渡されて。その好きも幼なじみとしての好きなんだと思ってたから…」

スンチョルの鈍感、なんて顔を赤くして言う彼女。
確かに鈍感かも知れないけど…。

「返事聞きたくない？」

『今ここで…？悩むとかないの？』

「悩む時間は、今までたくさんあった。Aに言う返事はもう決まってるから」

ずっとすれ違ったままの恋心。
皮肉にもずっと両想いだったなんて。

彼女の座っているソファーの隣に腰を下ろした俺は、彼女の体を抱き寄せて、好きだよといつか言おうとしていた言葉を口にした。