【SVT】for you。2 (ページ6)

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たくさんの愛情を。　MINGYU ページ6

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『もう…なんで上手くいかないの…』

「そう？上手くいってると俺は思うけど」

『全然ダメだよ……それよりミンギュ、私が作ってる横で私より上手くチョコ作るとか。私に対しての当て付け？』

「違う違う。こうした方がいいってアドバイスのつもり」

慣れない作業に奮闘しながらも、俺へのバレンタインチョコを作ってくれる彼女。そんな彼女が失敗してはへこんでるから、手助けしたくて作った俺の行動が気にいらないみたいだ。

おまけに当て付けかと、言ってくる。

どんなものでも、大好きな彼女が作ってくれるものなら俺は嬉しい。
隣に居てくれるだけでも嬉しいのに。

『はぁ…あげる前から中身はわかってるのに……ミンギュはもらって嬉しいの？』

「嬉しいよ」

『見た目が悪くても？』

「気にしない」

『味が保証できなくても？』

「だから気にしないって」

こんな時なんて返せば正解かはわからないけど、そんな俺の気にしない発言が気に入らなかったのか、Aは腹を立てた様子だった。

どうでもいいような扱いに聞こえたんだろう。
俺はどうでもいいなんて、一度も思った事はないのに。

『少しでも上手なものを渡したいって思ってるのに…ミンギュは私の気持ちなんて考えてくれない…！料理好きなミンギュと同じで、料理好きな彼女と付き合えばよかったじゃ_____』

うるさい口は、塞ぐに限る。
黙らせるのは俺限定の口に限るけど。

『ん…っ……ミンギュ、』

「Aの口の中、チョコの味で甘い」

『ミンギュだって……甘いよ…』

「俺何度もAのチョコ味見したから。で、気づいた」

『何を？』

「なんでこんなに甘いのかって。見た目はそんなに変わんないのに、作る度にどんどん甘さが増してくる」

俺の言葉の意味がわからないのか、不思議そうにAは首を傾げる。
ほんと、鈍感だ。

「俺への愛情が入ってるから。俺を想って作ってくれるからこんなにも甘いんだよ。見た目がどうとか、味がどうとか、そんなことより俺を想って作ってくれる気持ちが何よりも嬉しい。だから、俺の彼女はお前以外にいない」

料理は愛情って言うけど、本当にそうだと思う。
どんなスパイスも、愛情には勝てない。