【SVT】for you。2 (ページ30)

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貴女だけのもの。２ページ30

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「あの…チョン君。荷物運ぶの手伝ってくれる？」

「いいですけど…」

「ちょっと、私が先に資料手伝ってもらう約束してたんだけど」

一日にして世界が変わった気分。ただ長かった前髪を切り、眼鏡をコンタクトにしただけ。それだけで昨日と今日の差がこんなにも変わってしまうなんて、なんか怖い。話しかけてこなかった女性社員も、用もないのに周りをウロウロされて、必要性のない仕事の手伝いをさせられる。

普段なら自分でこなしている作業だ
それを俺と一緒にしようって

「女は怖いねぇ…」

「他人事みたいに言うなよ…」

「事実他人事ですけど。俺が前髪切ったら？って言ったら渋い顔してたくせに、A先輩の一言でこの変わりよう」

「うるさいな…」

スニョン、ニヤニヤした顔で見るなよ
俺は全て知ってますけど、みたいなしたり顔

単純だって言いたいんだろう。好きな先輩に言われたら、自分を変えたくなるじゃないか。自分を好きになってもらいたいって、努力するもんだろ。

「けどなぁ…A先輩ってソクジン先輩の事好きみたいだから」

「は…？今なんて、」

「知らなかった？ソクジン先輩を見つめるあの眼差し。好きですオーラがこう伝わってこない？」

「伝わってこない…！！」

ここが社内だって忘れてた。ムキになって大声を出した俺を皆が見ている。その中にA先輩もいて、恥ずかしくなった俺は逃げるように部署を出て行った。

最悪だ…。
こんな事で注目されるなんて

「はぁー…何してんだろ…」

休憩所のソファーに腰掛け、長い溜め息を吐く。誰も居なくてよかった、みっともなくてしばらく部署に帰りたくない。カッコいいなんて言われて浮かれてたんだ。それなのに先輩はイメチェンしてきた俺に、何も言ってくれなかった。昨日の発言が嘘のようで、俺一人だけ舞い上がって。

「かっこ悪…」

『どうして？ウォヌ君はカッコいいよ』

「A先輩…なんで、」

『ウォヌ君が気になって追いかけてきた。それと、少し休憩したかったって理由も』

隣座っていい？と言われ、俺は先輩の座るスペースを開けて座り直す。

『イメチェンしたら…なんて言わなかったらよかった』

「どう言う事ですか？だって先輩が、」

『そうなんだけど…言った事後悔しちゃって…』

どう言う意味なんですかと、聞かずにはいられなかった。