58.この感情は 千寿郎side ページ13
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胸の鼓動が止まらない。ボゥっとして自然と頬は熱くなるし、Aさんが兄上や弟の累さんと話しているのを見る度チクッと感じた事のない痛みが胸を刺す。
「優しさも強さの一つ…か」
父上には男らしさの欠片もないと日頃から言われていた。兄上は気にするな、お前はそのままでいい、といつも庇っていてくれたけど…。心のどっかで何かが引っかかっていた。剣術よりも書を読む事が好きな事、鍛錬よりも家事や花を愛でたりする穏やかな時間が好きな事。
でも、それは男の僕が口にしてはいけないんだと思っていた。
元柱である父上、現柱である兄上、二人の背を追いかけ僕は意志を継ぐ
『千寿郎君、何か手伝うことある?』
「え、…あ、い、いえ…」
『私が料理出来ないと思ってるでしょう?』
「そんなこと思っていません…」
『本当に?』
駄目だ…そんなに近づいて来られると、僕はどうしたらいいのかわからない。どうかしたの?と僕の顔を覗き込んで来るAさんと目が合って、手にした野菜が床へと転がった。鍋に入れた湯がブクブクと沸騰する感じが、僕の気持ちと似ている。燃えるように熱くて、間違って触れでもしたら…。
『千寿郎君顔が真っ赤だよ?体調悪い?熱が、』
「へ、平気です!」
僕の額にAさんの手が触れた瞬間、一歩後ろへと下がってしまった
触れられた事による咄嗟の判断
『ごめん…急に触れるとか、嫌だったよね?累と重ねちゃって、』
「そうじゃないんです!嫌とかじゃないんです!」
『千寿郎君?』
「本当に嫌なんかじゃ…」
むしろその逆で嬉しくて
でも、また弟と比べられたのに腹を立てて
二つの感情が行ったり来たりで追いつかない
「あの、料理任せてもいいですか?後は野菜を煮込むだけなので。その、僕はお風呂の…お風呂の準備をして来ます…!」
逃げるように廊下を走って行く僕に、「千寿郎、廊下を走るな」と部屋から父上の怒鳴る声。僕は立ち止まりドキドキと鳴る胸に手を当てる。
こんな気持ち初めてだ。母上以外の女性に触れられた事も、僕を庇い気遣い優しい言葉をくれた女性も。でも、母上には抱かない感情。
「これが…恋なんでしょうか…」
この甘く切ない感じが、恋だとするなら
僕にとってAさんは…初恋の相手
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三月の専属ストーカーなつめみく - うあああああいいるいくん救済!!救済だあああ!!やったあああああ!ここのコメント欄の空気ぶち壊していくうううう!!てか面白すぎいいいい!もうね!設定が!神なんよ! (10月24日 9時) (レス) id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ - ありがとう〜♪続き待ってるね♪(*⁰▿⁰*) (2022年1月2日 18時) (レス) id: c4dfd681b0 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - アオイさん» アオイさんは多才な才能をお持ちなんですね。絵も描かれ、ピアノまで弾けるなんて羨ましいです。累君のテーマ曲、今度聴いてみたいと思います。更新の準備致しますね。千寿郎君と煉獄さんのお話からになりそうです。その様子に累君ヤンデレ化しないといいですけど(笑) (2022年1月2日 0時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
アオイ - まぁ、私の話は置いといt((無一「更新頑張ってね」 (2021年12月31日 23時) (レス) id: c4dfd681b0 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ - 累君は、ヤンデレも似合うしツンデレでも似合うなぁ〜って思うと、私 顔が真っ赤っかになるですwww.自分で描いた累君を見ると『可愛い///付き合いたい///エンジェルですか⁉あなた⁉』ってよく言ってて 累のテーマの曲をピアノで弾くとギャン泣きにいつもなってる (2021年12月31日 23時) (レス) @page10 id: c4dfd681b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:bluemoon | 作成日時:2021年9月28日 20時