56.雲行き怪しく ページ11
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『広いお屋敷…』
門構えも立派で手入れの行き届いた庭。お世話になっている蝶屋敷も広いと感じたが、煉獄さんの実家も負けていない。道場もあるみたいだし、門下生がいるのかも。未来を担う継子の育成、煉獄さんが師匠ならこっちからお願いしたいぐらいだ。
「ここには僕と兄、父上の三人で暮らしているんです」
『三人だけ?門下生とかは?』
「兄も柱として日々任務に忙しいので。父上は…その、」
俯く千寿郎君に、これ以上踏み込んではいけない。
その家庭には、その家庭の事情がある
私も善逸達に累との生い立ちを詳しく話した事がないんだから
「姉さん、やっぱり帰ろう」
『でも、千寿郎君の好意を無駄にするのも』
「そんなのどうだっていい。僕以外の奴と親しくしないで」
『ちょっと累…、』
私の腕を掴んだ累が踵を返して歩き出す。
強引にも見える行動に、累の不機嫌さが伝わってきて…
「待ってくださいっ!」
突然の声に驚きと、引き止める為に掴まれた腕。
「帰らないでください…」
『千寿郎君?』
「お、お話がしたくて…兄上の柱としての活躍とか…」
『煉獄さんの話ね』
「それと…Aさんのお話も」
『私の話?』
どうして?と尋ねれば、「どうしてでしょう…」と曖昧な返事が千寿郎君から返ってくる。引き止める為の口実としてはイマイチ。納得のいく言葉で説得されれば、累だってわかってくれると思う。
「お前いい加減にしろよ。僕と姉さんの時間を邪魔するな。姉さんに干渉しようとするな。ただでさえお前が引き止めた事で、僕の機嫌を損ねた事。その体に教えてあげようか?」
身を隠すように被っていた笠の紐に累は手を伸ばし、必要ないと引きちぎった。投げ捨てた笠が千寿郎君の足元に転がり、累の姿を見た千寿郎君の目が大きく見開く。人とは違う風貌、知識のあるものなら鬼だと気づくだろう。
「鬼を引き連れている人間がいるとは世も末だなぁ」
「父上…!」
「鬼殺隊は何やってやがる。鬼を狩るのがお前らの仕事だってのに」
フラフラとおぼつかない足取りで累へと近づいて来る男性は、手にした酒瓶を一口。ただの酔っ払いと思えないのは、眼光鋭い眼差しに男性から感じる圧。
『累、下がってて』
「姉さん…?」
「嫌な目つきをするガキだな。俺に挑もうとする嫌な目つき。相手の力量も分からず、あっさり死ぬタイプだろ、お前は」
人が黙ってると思って、言いたい放題言い過ぎ。
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三月の専属ストーカーなつめみく - うあああああいいるいくん救済!!救済だあああ!!やったあああああ!ここのコメント欄の空気ぶち壊していくうううう!!てか面白すぎいいいい!もうね!設定が!神なんよ! (10月24日 9時) (レス) id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ - ありがとう〜♪続き待ってるね♪(*⁰▿⁰*) (2022年1月2日 18時) (レス) id: c4dfd681b0 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - アオイさん» アオイさんは多才な才能をお持ちなんですね。絵も描かれ、ピアノまで弾けるなんて羨ましいです。累君のテーマ曲、今度聴いてみたいと思います。更新の準備致しますね。千寿郎君と煉獄さんのお話からになりそうです。その様子に累君ヤンデレ化しないといいですけど(笑) (2022年1月2日 0時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
アオイ - まぁ、私の話は置いといt((無一「更新頑張ってね」 (2021年12月31日 23時) (レス) id: c4dfd681b0 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ - 累君は、ヤンデレも似合うしツンデレでも似合うなぁ〜って思うと、私 顔が真っ赤っかになるですwww.自分で描いた累君を見ると『可愛い///付き合いたい///エンジェルですか⁉あなた⁉』ってよく言ってて 累のテーマの曲をピアノで弾くとギャン泣きにいつもなってる (2021年12月31日 23時) (レス) @page10 id: c4dfd681b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:bluemoon | 作成日時:2021年9月28日 20時