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「ジミナ…大人の包容力ってどんな?」
「え、急に何?」
明日の仕込みをしている僕に、テヒョナは玉ねぎの皮を剥きながら聞いてきた。
ジョングク君と一緒に帰ってきたテヒョナはなんか落ち込んでいて、ああAヌナに会えなかったのかと慰めようとするとテヒョナは違うと言った。
じゃあ何って聞けば、冒頭のような質問をしてきて。肝心な部分が抜けてるからそれを推測するのは難しい。
「テヒョンさん、Aさんのお見合い相手の話を聞いたみたいなんです」
「そうなんだ…。」
「なんでも相手はAさんよりも一回りも年の離れた人らしく、IT関連の企業に勤めているエリートマンとか」
「それで大人の包容力ね…。テヒョナとは真逆のタイプか」
テヒョナは見た目以上に中身が幼い。言動にしても、年下のジョングク君の方がしっかりしてるぐらいだ。
けど、それがテヒョナの魅力でもある。危なっかしくてほっとけないからついつい手を差し伸べてしまう。
「ヌナの周りは俺よりも大人の男が多くて、お見合い相手の人も。それにユンギさんだって…。でも俺ヌナの事大好きだから…諦めたくない…。」
「…テヒョンさん泣いてます?」
「違う…玉ねぎの匂いが目に染みただけ…。」
ポロポロと大粒の涙を流すテヒョナは乱暴に目元を拭うが、それでも流れ落ちる涙は止まらない。泣き虫なのは昔から変わっていないみたいだ。
付け加えるなら純粋なところも。
「テヒョナ、泣かないの。諦められないなら諦めなければいい。テヒョナはテヒョナらしく、Aヌナの事好きでいればいい」
「俺…らしく…?」
「相手の事は何も知らないけど、テヒョナのいいとこ僕はたくさん知ってるから」
「俺もテヒョンさんの味方です!なんでも言って下さい!」
「ジミナ…ジョングク…っ」
涙で濡れたテヒョナの顔をタオルで拭き、元気出す!と僕は気合を入れるべくテヒョナの背中を叩いた。
「けど、俺にはヌナとの繋がりが何もなくて…。ヌナと一緒に働いてるユンギさんが羨ましい…。」
「なら、繋がり作ればいいじゃないですか?」
「ジョングク君何かいい案あるの?」
「ええ。とっておきの秘策が」
不敵な笑みを浮かべるジョングク君に、僕は一抹の不安を覚えた。
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作者名:bluemoon | 作成日時:2020年9月19日 9時