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「Aさんの…知り合いですか？」
「まぁ…私にとっては弟ような存在でして、」
「俺ヌナの彼氏候補。そう言うお兄さんは誰？ユンギさんみたいに会社の友達？」
「彼氏候補ね……低俗すぎて話にならない…。」
「シウさん…？」
テヒョン君を見る目はとても冷たく、呟いた言葉は蔑んだもの。子供のようなテヒョン君と、大人なシウさん。話す言葉の選択も、態度も、全くの真逆。
「すいません…あまりにも彼の行動が突飛過ぎて。僕の周りにはいないタイプなので」
「ですよね…。テヒョン君のような男の子、そうそういないですから」
「俺は一人だけだよ？ヌナを好きな俺は一人だけ」
「そうだね…。だから少しテヒョン君お口閉じてくれるかな？今、シウさんとお話ししてるから」
ムッとした表情のテヒョン君は私の手を強く握った。
静かにしてくれるのかと思ったらそうではなく「ヌナとお話ししたいの俺なのに…。」「ヌナは全然返信してくれないし…。」「ヌナは…、」とぶつぶつとボヤき始める。
構ってあげないほど、迷惑なものはない。
「すいませんシウさん。後で連絡してもいいですか？」
「構いませんけど…子守も大変ですね…。じゃあ、僕はこれで帰ります」
「送っていただいてありがとうございました」
頭を下げる私にシウさんは、こちらこそ楽しい時間をありがとうございましたと頭を下げた。どこまでも律儀で、紳士的。
ずっと独身でいたのが不思議なくらい。
「ヌナ…あの人ばっかり見てる…。」
「見送ってただけでしょ。もう、すぐ機嫌悪くならないの」
「だって…、」
ぽんぽんに膨らんだテヒョン君の頬を両手で包み、むにゅとつまむ。
「なんでヌナ…カトク返してくれなかったの？返してくれなかったから、俺いっぱい送ったんだよ。ジョングクにも一度で十分だって、ジミナにもヌナに迷惑かけるなって怒られて…。でも、ヌナの返信欲しかったから…。」
「そんなに送ったなら気づくはずだけど…。」
鞄を探って携帯の画面をタップする。
「あれ、電源切れてる…なんで？」
「ヌナが切ったんじゃないの？」
「そんな訳ないよ。テヒョン君からカトク来るって思ってたから。すぐに返信しようとテーブルの上に置いてたんだよ」
長押しして携帯を起動させる。画面にはテヒョン君のカトクを告げる表示と、シウさんの連絡先が表示されていた。
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作者名：bluemoon
| 作成日時：2020年9月19日 9時
