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「そう言えば、お前お見合いどうなってんだ?」
「それ聞いちゃう…なんか親同士が勝手に事進めてて」
「トントン拍子でよかったじゃねぇか」
「心にもない言葉。相手の写真も母から送られてきて、」
「……見せろ」
「見せてください!でしょ」
上から目線の言い方に腹は立つが、私も相談できるのはユンギしかいない。
テヒョン君に相談なんて……問題外だ。
きっと、相手のとこに乗り込んで…考えるのはよそう。
「へぇ…いい男じゃん。このルックスでエリートマンとか、お前には高嶺の花なんじゃねぇのか?」
「失礼な!高嶺の花ってのは否定しようがないけど…。」
「ユンギさん、ヌナの手離して」
私の手を握ったまま携帯画面を覗き見てるユンギに、テヒョン君は不機嫌な表情のまま近づいてきて、ユンギの手を乱暴に払った。
テヒョン君が機嫌悪いのは見てわかる。
でも、私とユンギの距離の近さだけが問題ではないみたい。
「イさんは?」
「先に帰った…。」
「テヒョン君何かあった?」
「俺が理由言ったら…ヌナは俺に従ってくれるの?」
「それは理由聞いてみないと…、」
「ここでは言いたくない」
駄々を捏ね始めたテヒョン君に、ユンギは「ガキだな」と呆れ。でも、私にはこれがいつものテヒョン君だと、慣れてしまえばどうと言う事はない。
拗ねて唇を尖らせるとこも。
私の上着の裾口を掴むところも。
「ユンギ、悪いけど今日飲みに行くのやめる」
「はぁ…甘やかせすぎると、コイツの為にならないってわかってんのか?」
「そうなんだけどさ…このまま飲みにも行けないじゃない」
「確かに子供連れだとな」
「俺、子供じゃない!」
「そうだね。ごめんね、テヒョン君子供扱いして」
「うん…。」
そう言うとこが子供だって、とユンギが言いかけた言葉を黙ってと私は睨みつけた。
これ以上機嫌を損ねると、面倒な事になりそうで。
「お前、A送ったらちゃんと帰れよ?いいな?」
「俺…帰らない…。」
「チッ…、俺は帰れって言ってんだけど」
「俺、ヌナの弟だから帰らなくてもいいの!ヌナの弟なんだから!!」
こんな時に都合よく弟設定を持ってくるあたり、テヒョン君は意外に頭が切れるのかもしれない。
どんな屁理屈だと、ユンギの呼び止める声を無視して、テヒョン君は私の手を握りアパートへと歩き出した。
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作者名:bluemoon | 作成日時:2020年9月19日 9時