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「企画課のカン様、お客様が受付にてお待ちです。至急、対応の方よろしくお願いいたします。繰り返しますー、」
来客を告げるアナウンスが合図になり、私はユンギの体を押しのけると乱れた服装を正し立ち上がる。
「はぁ…アイツ携帯切って何分も経ってないってのに…来るの早すぎだろ」
ユンギは私あての来客が誰か知っているような口振りでため息を吐き、先に行けと手で払う。資料室のドアに手をかけ一度ユンギの方に振り向けば。
「なんだよ?」
「ユンギは…、」
「なんでなんて聞くな。言っとくが、俺は好きでもない女抱きたいと思わねぇから。それだけは誤解するな」
気怠げに髪を掻き上げる仕草がいつもと同じで、少し安心する。それ以上返す言葉も見つからなくて、私はドアを閉めた。
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「Aヌナはまだですか!!」
「テヒョンさん、落ち着いて下さい!」
「落ち着いてなんて…、ヌナっ!!」
私を呼べと受付の女の子に迫っていたテヒョン君は、私の姿を見つけるなり勢いよく走ってきて抱きついてきた。
「ちょ…テヒョン君、ここ職場だから、」
「関係ない!どこだろうとヌナに何かあれば、俺いつでも駆けつける」
関係なくは…ないんだけど…。
私とテヒョン君を見る皆の視線が痛い。
「すいません。少し席を外すと企画課の主任に言付けお願いできますか?」
「いいですけど…勤務時間内に彼氏と、」
「ち、違います。彼氏ではなくこの子は弟です」
「俺…弟じゃない…ヌナの彼氏になる、」
「弟なの!」
少し強めに言った私の言葉に、テヒョン君は渋々頷いた。俯くテヒョン君の手を掴み、「ジョングク君も行くよ」と声をかけると、慌てて私の後を追いかけて来る。
「テヒョン君、会社に押し掛けてきたらダメじゃない」
「……俺…弟だからいいの…。ヌナにとって俺は弟なんでしょ…?」
近くの公園に来たものの、テヒョン君はずっと口を尖らせて私が弟扱いした事に拗ねていた。
「テヒョンさん、Aさんが言った言葉は、必要な嘘ですよ」
「必要なうそ?さっきもジョングクそう言ってた…。ヌナ、そうなの?俺の事弟扱いじゃなく、ちゃんと一人の男として見てくれてるの?」
「あ、うん…。」
「ヌナ…!嬉しいけど…俺、今怒ってるんだから!」
感情の起伏の激しいテヒョン君は、ユンギさんとの事説明してと私に詰め寄った。
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作者名:bluemoon | 作成日時:2020年9月19日 9時