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「昨日は悪かった。無事に帰れたか？」
「まぁ…無事と言えば無事だったんだけど…。」
「なんだよ？」
休憩所のテーブルで項垂れている私の隣にユンギは腰を下ろすと、私の頬に冷たい缶を押し当てた。ありがとうと受け取ると、「奢りじゃないからな」といつもみたいにカラかってきて。
「なんか…ユンギの隣にいると落ち着く…。」
「そう思うのは、俺といつも一緒にいるからなんじゃねぇの？」
「そうかも…。でも、そうじゃないような…。」
「どっちなんだよ？」
ユンギは笑い、私の髪を撫で始める。
撫で始める…？
「え、ユンギ！？」
「うるせぇな…黙ってろ」
「でも…、」
「別に抱いてるわけじゃねぇんだから、髪ぐらい触れてもいいだろ？俺も…癒されてぇんだよ」
「なんかあったの？」
「なんかあったのはお前の方だろ？」
不機嫌な表情のユンギに戸惑い、理由を聞こうと口を開けば唇に触れたのは柔らかい感触。目の前には綺麗なユンギの顔があって、何が起きたのか理解する前に離れた唇。
「あ、えっと…、」
「…付いて来い」
休憩終了の予鈴が鳴る中、ユンギは私の腕を掴んだまま人通りの少ない資料室へと歩き出す。ほとんど訪れる社員もいない場所。ポケットから鍵を取り出し扉を開けるユンギに。
「仕事に戻らないと、」
「お前の午後の仕事、俺の手伝いって主任に許可もらってる」
「そ、そうなんだ。じゃあ、早く仕事片付けないと。この資料棚に戻せばいいの？」
「お前さ…昨日何があった？」
「何がって、何もないけど」
無表情のまま近づいてくるユンギの圧に押され、後ずさった先には使い古されたソファー。トンと肩を押された私はバランスを崩し、そのままソファーの上に倒れ込んでしまった。
「お前…俺に隠しごとなんてしたことあったか？どんな男がタイプで、どんな男と付き合ったとか。どうやって抱かれたいとか、お前の趣味嗜好。なんでも俺に話してくれてたよな？」
「それは…、」
二人分の負荷がかかってギシッと鳴るソファーに、ネクタイを片手で緩めながら私の上に跨ってきたユンギは、「見せつけてるのか？それとも俺を煽ってる？」と私の耳元で囁く。
「何を言って、」
「ここ、見えてんだよ。アイツにつけられたキスマーク」
ユンギはイラだった様子で、私の鎖骨部分を指先で叩いた。
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作者名：bluemoon
| 作成日時：2020年9月19日 9時
