【SVT】for you (ページ10)

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そのままの君で。　SEUNGKWAN ページ10

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『スングァン、食べないの？』

「僕ダイエット中だから…。」

『そっか。じゃあ私は遠慮なく食べるね』

彼女なら気を使ってくれてもいいじゃないか。一緒にダイエット付き合うよとか、今は食べるの我慢するねとか。

それなのに目の前で美味しそうに食べ物頬張って。

僕への当て付けにもみえて、余計腹が立つ。

『本当に食べないの？』

「いいって言ってるだろ！」

背を向けていても食べ物を咀嚼する音や、いい香りが鼻腔をくすぐる。

空腹を紛らすためミネラルウォーターを半分以上飲み干した。

『どうして急にダイエットなんて始めたの？』

「それは……逆に聞くけど、Aのタイプは？」

『スラリとした細身がタイプ…。』

「僕と全然真逆じゃん！」

『それはあくまでタイプであって…、もしかしてスングァン、それを気にしてダイエットしてるの？』

笑いたかったら、笑えばいいさ。
くだらないって、そんな事気にしてたのって。

でも、僕はAが好きだから、彼女が望むような男になりたい。彼女の隣を堂々と歩けるような理想の男になりたい。

そうじゃなきゃ…。

「自分に自信がないんだ…。いつかAが僕の前からいなくなるような気がして…。」

『スングァン…。』

後ろでAの立ち上がる音が聞こえ、このまま部屋を出て行くかもしれない。

振り向きたくても、振り向けない。

「え…、」

不意に包まれた両頬。

顔を上げれば、微笑むAの姿。

『飾らないスングァンが好き。優しくて面白いスングァンが好き。綺麗な歌声を聞かせてくれるスングァンが好き』

「A…。」

『そのままで十分過ぎるくらい素敵だよ。忘れたの？告白は私からだって。私がスングァンのこと大好きなんだから』

彼女の言葉が嬉しくて、ぽろぽろと涙が溢れ出す。
泣き顔を見られるのが恥ずかしくて、でもとても心地よくて。

『ほら、ご飯一緒に食べよう』

「う…っ…うん…。」

僕の手を引いてくれる温かな手。

僕を好きになってくれて、ありがとう。