検索窓
今日:11 hit、昨日:45 hit、合計:321,291 hit

大切な人。 S.COUPS ページ39

.


「ただいま…。」

『スンチョルお帰り。お隣のキム夫婦、赤ちゃん出来たんだって。夫のテヒョンさん喜んでて、奥さんも幸せそうで。でね、私も…、』

「ごめん…仕事で疲れてんだよ。話は今度にしてくれるか」

『あ、うん…。先にお風呂入るよね?』

「その前に少し寝る…。」


何か言いかけたAの言葉を遮って、俺は寝室へと向かった。

結婚して三年目。

家庭生活に不満がある訳ではない。転勤の多い俺の仕事にも彼女は理解を示してくれて、慣れない土地で一生懸命家庭の事をしてくれる。そんな彼女に苦労はかけたくないと、仕事に没頭して昇進を夢見る日々。

深夜遅くに帰ってくる事もあるし。
休日は上司の機嫌取りの為に、趣味に付き合った。


家庭なんて、顧みる暇もないほどに…。


「……はぁ…起きるか…。」


時計の針は午前一時を指していた。隣で寝ているAを起こさないよう体を起こそうとして、彼女の姿がない事に気づく。

リビングから漏れ出る光。


こんな時間まで起きてるのか…。


「A、寝ないのか?」

『…っ……スンチョルっ』

「なんで泣いて…、どこか具合でも悪いのか!?病院に連れて行くからちょっと待ってろ…!」


車のキーをポケットに入れたままだと思い出した俺は、必要な財布と家の鍵を乱暴に掴みAの体を抱き上げた。


「どこが痛い?頭か?それともお腹か?」

『違う…っから…。大丈夫…、』

「大丈夫って、泣くほど痛いんだろ?」

『痛いんじゃないの……嬉し涙だから…。』

「え…、」


家を出ようとした俺の足を止めた彼女の言葉。


嬉し涙って、嬉しい時に流す涙だよな?
何が嬉しくて…?


『スンチョル…私赤ちゃんできた…。』


母子手帳を見せてくれるAの顔は涙でぐしゃぐしゃなのに、そんな彼女が愛おしい。こんなに可愛いんだって事、久しく忘れてた。

俺はAを見ようとしてなかった。
Aの話を聞こうともしてなかった。


『何か言ってくれないの?』

「ああ、その……言葉が出てこなくて…。俺…Aを幸せにするんだって、仕事ばっかで…。それなのに、赤ちゃんできたって聞いて…嬉しいのに…。」

『スンチョルが私の為に頑張ってる事知ってるから。私、スンチョルの奥さんになれて幸せだよ。スンチョルとの子供を授かって幸せ』


Aは幸せって言ってくれたけど、俺の方がAと一緒になれて幸せだよ。


大好きで大切な俺の妻。

伝えるよ。1 WOOZI→←寝言。 VERNON



目次へ作品を作る
他の作品を探す

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
790人がお気に入り
設定タグ:SEVENTEEN , セブチ , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:bluemoon | 作成日時:2020年4月25日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。