【SVT】for you (ページ1)

今日:10 hit、昨日:45 hit、合計:321,290 hit

犬派？猫派？　WOOZI ページ1

.

『ねぇジフン、この子可愛い』

「んー…そうだな…。」

『もう、見てないでしょ！起きてよ』

寝ている俺の体をバシバシと叩いてくる彼女のAは、携帯画面を俺の顔へと突き付けてきた。

近すぎて、見えない。

「起きるから…。」

なんて言いながらまた布団を被った俺に、Aのため息が聞こえる。

休日でも全く外に出たがらない俺に比べ、Aは言葉にしないけど何処かに出掛けたいんだろう。俺と付き合う前はよく友達と旅行に行ったりしたと聞いた。

「あのさ…俺が出不精だってこと知ってたよな？」

『ん？そうだね』

「付き合ってこんな事聞くのもアレだけど…。何で告白の返事オッケーしてくれたのかなって」

被っていた布団を少し捲って顔だけAに向けた。勝手に背を向けていると思っていた俺は、Aが俺の方を見ていた事に少しだけ驚く。

『ジフンが私の事好きでしょうがないって顔してたからかな』

「は…？俺…そんな顔してない」

ほんとはAの事が好きで好きで仕方がない。

なのに素直じゃない俺は、いつも言葉をはぐらかす。

『冗談だよ。私がジフンを好きだから』

「何処にも出掛けられたくても？」

『うん。ジフンの側にいられるだけでいい』

恥ずかしげもなく自分の気持ちが言えるAが羨ましい。俺には到底出来そうにないから。

『ジフンは犬派？猫派？』

「どっちも嫌いじゃない」

『そっか。私もどっちも好き』

可愛いよねと携帯画面に流れる子犬の動画を見て微笑むA。

むしろ可愛いのはお前の方。

誰にでも優しくて、いつもニコニコしていて、そんなAがずっと好きだった。フリーだと聞かされた時には後先考えず告白してた。フラれた後のことなんか二の次で、誰にも取られたくなかった。

「やっぱどっちでもないかも」

『他に好きな動物いるの？』

「動物って言うか、好きなモノはある。犬派、猫派って聞かれたら。俺はAが一番好き…。」

『え、ジフン…？』

赤くなった顔を見られたくない俺は再び布団を頭から被った。