月の悪夢 (ページ6)

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ヌナとエギマンネページ6

DN「………………………ヌ……ナ…？」

「あなたは誰なの？」

震える唇からそんな言葉が勝手にでた。

そんなわけない、

そんなはずない、

体格のいい体に、少しあどけなさが残っている顔立ち。

聞き慣れている声だって''昨日''より格段に低くなっている。

私は泣きながらかぶりを振った。

目の前で歪んで見える彼は……

きっとチャニなんかじゃない

＿＿＿＿＿

ｶﾂﾝ

床に靴の響いた音がしてパッと前を見ると彼がこっちに近寄ってきた。

DN「……覚えてる？Aヌナが大好きだったエギだよ」

「…うそ」

DN「嘘じゃない………っ…チャニだよ」

目の前にしゃがみ込み、私の手を握り彼の頬に持ってゆく。

彼………チャニの頬は温かいのになぜか濡れていた。

「ねぇどういうことなんで…ひゃっ」

気付けばチャニの腕の中にいて、

DN「……やっと起きてくれた。僕のヌナ」

真正面から見つめられた。

逞しくなった腕に、硬い胸板、顔だって大人っぽくなっている。

何よりチャニの甘い香りに包まれて頭がクラクラした。

「んっ…ぅ…」

彼の手が私の髪から首筋、首筋から頬へと滑り落ち、ゆっくりゆっくり撫でられた。

壊れ物を扱うかのように触れ、髪にキスを落とすチャニ。

「……チャナ……やめっ」

やっと離されたかと思えば、また再び見つめられる。

視線を逸らそうとしても頭を支えられて動かせない。

DN「ねぇヌナ………………ほんとに、ほんとに愛してるよ」

瞳から透明な雫を溢すチャニのか細い声に、何故か私も泣きそうになった。

彼の頬に手を伸ばせば、チャニも手を重ねてくる。

「私もチャニのこと…………大好き」

DN「……やーヌナそこは愛してるでしょ？」

お得意の四角い笑い方をして私の鼻をつまんでくるチャニ。

「チャニこそなにその告白」

負けじとつまみ返せば少し目を大きくして、笑った。

DN「ヌナへの本心だから」

「一丁前に大人になっちゃって」

DN「もう…大人だよ………」

「え？」

チャニの苦しそうな言葉に心の中で変な音がした。

パンドラの箱をこじ開けてしまったような、

そんな音だ。