ヌナと花言葉 ページ15
SG「ヌ…ナ」
物を言わぬ扉から声が聞こえ、ゆっくり目を向ければ…
「スングァナ…ハンソラ……」
唇を噛み締め、必死に涙を堪える泣き顔スングァナ、
そして頬と長い睫毛に滴をまとってなんとも言えない表情をしているハンソラがいた。
数秒、お互いに沈黙が生まれる。
二人のビー玉みたいな瞳が私を捉えて、離さない。
その四つの瞳はみるみる滴を溜めて、溢れた。
「二人とも……こっ…ちおいで？」
震える腕を彼らに向けて伸ばせば、
次の瞬間
SG「Aヌナアアアア」
ダッとスングァンがこっちに駆け寄ってきて、私はそのまま抱き止めた。
私の病衣に顔を埋め、泣き声を上げる彼の頭を撫でてあげれば尚更声が大きくなる。
VN「A…」
気付いたら隣に立っていたハンソラも私の病衣の裾をくいっと引っ張って、必死に泣くまいと顔を歪めている。
片腕で彼の腰を抱き締めて、片腕でスングァナの頭を撫でた。
さっきまで大泣きしていたのに、気付いたらまた私は泣いていて、止めようがなかった。
何があったかわからなくて、
独りぼっちになってしまった気がして
夢が叶わなかった事を思い知らされて
絶望のどん底だった私…
でもやっぱり私はメンバーが大好きだ。
オッパたちに対するこの想いはまだわからないけど、
この二人とチャニにまた会って…
私の心臓はどうしようもなく喜んでいる。
だからただ今はこの喜びに身を任せよう。
そう決めて私は二人をもっと強く抱き締めた。
「おはようスングァナ。ハンソラ」
そう小さく呟いた私の言葉はハンソラの大きな体に吸い込まれてしまった。
＿＿＿＿＿＿
Aの病室。枕元にあった一冊の本。
正しくは手帳だが、５年間という長い時間を経たそれは一冊の本になった。
その本はAの大好きな花言葉を一日一日、彼女の元に来ては調べ、書き留めた…
彼らとの唯一の繋がりである。
そしてこの本のある１ページに、真新しい滲みが出来ていた。
その花言葉は＿＿＿＿
「また会う日まで」
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美咲(プロフ) - 大好きです (9月21日 19時) (
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作者名：霄 | 作成日時：2023年4月30日 23時
