月の悪夢 (ページ13)

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ヌナの闇ページ13

ひとしきり泣いた後、私はもう何も感じなかった。

ただ今はこの''世界''から消えたい。

そんな思いが心の中で蠢いている。

私の体には歌う気力もダンスを踊れる体力もないのだから

あるのは虚な暗闇だけ。

窓の向こうで戯れ合う雀たちを見て、何故か余計に孤独や虚無という感情が心を蝕んだ。

DN「っ……また後で来るよ。ヌナの……代表には何も言わないから」

そんな私を気遣ってか、チャニは一言伝えて出て行く。

「……」

代表。

兼養父でもある彼は不器用なりに愛情を注いでくれていた。

それでも時には経営者として利益重視で決断を下さなければならず、

私と意見がすれ違い、ぶつかる事が多々あった。

「アッパ………ね」

静寂な部屋に呟いてみれば空間に吸い込まれていくその言葉。

…

''これも''何か忘れている。

代表との最後の記憶を思い出そうとすればするほど頭がズキズキと疼く。

まるで体が拒否するかのように頭が熱くなって、何も考えられなくなった。

もういっそのこと全て辞めて…………放棄してしまおうか？

虚な瞳の先に映った綺麗な花束を見て私はそんな考えが浮かんだ。

…

ナムジャたちにヨジャを投入することで賛否両論を浴びながらも注目されたSEVENTEEN。

そんなグルを今更ヨジャなしにデビューさせます、

…とは考えにくい。

だから

きっと私の代わりにあの人は別の子を入れたはずだ。

「……独りぼっち」

独り。

そんな言葉が頭に浮かんでふっと消える。

私は代表に尊敬、敬愛という感情は抱いていても、愛情や心の拠り所として頼っていたのは彼らだった。

けれど、それも今となっては分からない。

なぜ？

だって、

チャニの容姿を見るからに、私が倒れてしまって既に数年は経っているだろう。

ただでさえメンバーとの記憶も曖昧、

加えてオッパたちに拒否感情を持つ私が、彼らに純真な愛情なんてものを向ける資格はない。

ましてや新しい子と上手く活動しているなら

いっその事私は消えてしまったほうが良いのかもしれない