青い恋人５ Shori.S (ページ34)

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あれから数週間が経って

私も少しずつ心の整理がついてきた

次に思いを伝えなきゃいけないのは

思いを伝えたいのは

勝利

意味も無く部屋の掃除をして

必要以上に水を飲んで

ラグマットの上で体育座りをする

連絡先を開いて"勝利"を押してから

どれだけ時間が過ぎたのだろう

"通話"に指をかざしては

もうあと数センチ

画面に触れられないでいる

そんなタイミングで私の手元は振動し

画面に表示されたのは"勝利"の文字

『っ、…もしもし？』

勝「っもしもし、A？」

『ん、うん？どうしたの？』

勝「あの…

あのさ、ちょっと話したいことがあって

今日、この後時間ある？」

『あ、うん

や、あの、私も話したいことがある』

勝「わかった

20時に、この前一緒に行った海

行ける？」

『わかった

20時ね、行ける』

勝「ん、じゃあ、

また後で」

『うん、後でね』

通話が切れてから

私の心臓は信じられない速度で動いていて

スマホを床に置いてから

しばらく動くことができなかった

何にそんな気を張っているのか

思いを伝えるのに緊張しているのか

勝利からどんなことを言われるかが怖いのか

そんなことを考える余裕も無かったように思う