認められる想い uｰknow ページ22
アンチで溢れ返った舞台だったが今回の作品でゆいはたくさんの成果を残した。
ゆいの演技がたくさんの記者の心を動かし
記事には称賛の言葉が並んだ。
そんな記事を読んで顔が緩むのは
どうも俺だけではないみたいだ。
「ふんふんふーん♪」
宿舎に戻ればそんな浮わついた鼻唄が
聞こえた。
リビングの扉を開ければ
俺に背を向けるようにして
机の上に新聞や雑誌を広げる
チャンミンの姿があった。
どうも俺の帰宅に気づいていないようで
まだ鼻唄は続いている。
俺は気配を消して近づいて
その広げられている内容を覗き見た。
それはどれも俺が目にした覚えがあるもの
ばかりで丁寧に記事を切り抜きしている
チャンミン。
「はぁ…お前はゆいの母ちゃんかよ。」
そう言って俺が笑いながら声を掛ければ
チャンミンは飛び上がって俺の方を
振り向いた。
「ヤー！
帰ってきた時はただいまくらい
言ったらどうですか？！」
そう言いながらチャンミンは顔を赤くさせて
広げていた新聞や雑誌をかき集めている。
「良かったな。
ちゃんとゆいの演技が評価されて。」
俺はそんなチャンミンを見つめて言った。
「僕はゆいの演技を見たときから
分かってましたよ。
必ずゆいの想いは報われるって。」
そう言えば……
確かにチャンミンは早くにゆいの舞台を
見に行っていた。
固い表情をして出て行ったチャンミンは
ゆいの舞台から帰って来た時には
どこか安心したように落ち着いた表情に
変わっていた気がする。
「さすが、ゆいの母ちゃんだな。」
そう俺が言えばチャンミンは
真面目な顔をして返してくる。
「ゆいのお兄ちゃん！！
として当たり前です。」
それから間もなくゆいは怪我の療養もかねて
スケジュールは当分白紙になった。
その代わりに俺とチャンミンは
それぞれ舞台にドラマと忙しい毎日を
送るようになる。
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作者名：飛べない鳥 | 作成日時：2016年2月24日 0時
