木霊する音 cm ページ26
僕が部屋を出た時
宿舎の玄関から出ていく
ゆいの後ろ姿が見えた
不信に思った僕は
リビングのドアを開け中を覗く
女性マネージャーと談笑している兄達
僕の顔は意識せずに歪む
「ゆいは？」
ジェジュンが
女性マネージャーの後から
心配そうな顔で言う
「先に現場に行くって
さっき出ていってしまって…」
僕はそれを聞いてすぐに
荷物を部屋に取りに行く
今日の現場は歩いて
行けるような距離じゃない
すぐに荷物とありったけの
お金を持って後を追いかけた
玄関を出ると大通りがあり
坂道を昇るゆいの姿がある
「ゆい、ゆいー」
僕が何度呼んでも振り向かず
ゆいはそのまま歩みを止めない
ゆいの手前にはもうひとつの大通りがあり
トラックが迫っているのに早さを緩めない
僕は嫌な予感がして全速力で走る
「ゆい、ゆい止まれ！」
こんなに叫ぶのに
全く聞こえていない様に
ゆいは足を止めない
「プァーーーッ！」
トラックのクラクションが
大通りに木霊する
「ゆいーーー！」
ゆいの足がもう一歩で道を出る手前
ゆいの手を掴むことが出来た
力一杯自分の方へ引っ張ると
胸の中に抱き締め僕は後ろに倒れた
「はぁ、はぁ」
僕の荒い息と通りからは
トラックのクラクションが鳴り響いている
腕の中のゆいは
不思議そうな顔で僕を見上げた
「チャンミン、どうしたの？」
ゆいの言動に混乱する
「どうしたのって·····
ゆい、ごめん·····
お願いだからいなくならないで」
僕はゆいを抱き締めて泣いた
それでもゆいは不思議そうに
そっと僕の頭を撫でて
通りを過ぎていった
トラックを見つめている
「私が弱くて、ごめんね」
僕はこのとき気づいたんだ
ゆいはもう限界なんだって
ゆいは壊れてしまうかもしれない
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blue bird(プロフ) - コメントありがとうございます。少しずつですが読みやすく変更していきたいと思います。今でもそう言ってくださる方がいてくださると思わずコメントを頂いて嬉しくなりました。これからもゆいをどうぞよろしくお願いします！ (2019年6月9日 23時) (
レス) id: df3c0b8e27 (このIDを非表示/違反報告)
千衣(プロフ) - 何度読んでも泣ける感動作品。更新されてるのでまた最初から読んでは嵌まって泣いてジーンとしてます。 (2019年6月6日 21時) (レス) id: 831be97d67 (このIDを非表示/違反報告)
blue bird(プロフ) - ルカさん» 名前変換は私の作品で出来るものはありません_(._.)_ごめんなさいm(__)m (2016年9月18日 13時) (レス) id: 4a53b7e467 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - 名前変換はできないのでしょうか？ (2016年9月18日 4時) (レス) id: a22bd28471 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：飛べない鳥 | 作成日時：2016年2月21日 23時
