邂逅 ページ31
sans side
「う、嘘だろ…?」
湖に身を投げたAは
いくら探せど見つからない。
冷々とした冷気が
足元から凍りついていくかのように
背筋へと突き抜けていく。
…俺は、一体どうすれば良かったんだ?
約束を守らず仕舞いのまま、
Aはまた俺の側を離れていく。
自分の気持ちに正直になることだ。
それが一番大切な事なんだと、
Aは俺に言い聞かせた。
でも…それを、一番守れていないのは
─A自身じゃないか。
いつも全てを一人で抱え込んで
いつも全てを一人で解決しようとする。
決して人に頼ろうとはせずに、
たった一人で、守ろうとする。
ずっと一緒にいる、そう言ったのに
皆を救う為だと自分を犠牲にしては
呆気なく、俺達を置いていく。
嫌いだ…Aも、約束も。
地上に出られたって…
こんなの意味無いじゃないか。
─パシャン。
「!」
水音が響き、俯いていた顔をあげる。
視界の隅で白く細い何かが
水面から突き出しているのが分かる。
それが腕だと分かった瞬間、
考えるよりも先に身体が動き
沈んでいくそれを追うようにして
湖の中に飛び込んだ。
「Aッ…!」
暗い底へと沈んでいく白い身体。
届きそうで届かないお互いの手。
それはまるで今まですれ違い続けた
俺達を表しているみたいで。
…これ以上、逃してたまるかよ。
息が苦しいなんて言ってられない。
Aの為なら何だってしてやるさ。
沈んでいくAの手を
何とか掴み、力一杯引っぱり上げる。
近づく水面。
近づく距離。
Aを腕の中に抱いたまま、
湖から岸に何とか這い上がり
荒い呼吸を落ち着かせながら
地面にAを横たわらせる。
ぐったりと動かないA。
必死に呼び掛け続けて、時間は
どのくらい過ぎたんだろうな。
…呼び掛け続けるより皆の所に
運んだ方が良かったのではないか。
目を覚まさないAに今更ながら
後悔の念が込み上げてきた。
そんな時だった。
─突然Aが激しく咳き込みだした。
目の前が不思議な明るさを帯びた。
それと同時に、Aが無事だった事の
感動で目頭が熱くなる。
暫くの間、背を擦り続け
落ち着いてきたのか咳は徐々に収まり
ボンヤリとした表情で
Aは此方を見上げた。
85人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Undertale」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
真冬のハイビスカス(プロフ) - え、すご。好き。何これタヒねる((( (2022年3月12日 10時) (レス) id: 8fca6226df (このIDを非表示/違反報告)
5884 - うわああああああああ!!ー神いいいいいいいいい!!! (2020年11月19日 7時) (レス) id: 46a9b0887f (このIDを非表示/違反報告)
零ノ花(プロフ) - 6AB72D11L8DG5r6さん» 最後まで読んで下さってありがとうございました!別作品も良かったらどうぞ。 (2019年5月10日 7時) (レス) id: fd8ff30996 (このIDを非表示/違反報告)
6AB72D11L8DG5r6(プロフ) - やばい!すごい!めっちゃ面白かったです!!! (2019年5月9日 23時) (レス) id: 2653006338 (このIDを非表示/違反報告)
零ノ花(プロフ) - Ro:Aさん» 最後まで読んで下さってありがとうございました(///∇///)次回作でお会いしましょう! (2019年2月25日 7時) (レス) id: fd8ff30996 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:零ノ花 | 作成日時:2019年1月1日 15時