知らない 2 ページ8
目を閉じたままのわたしをそのままキッチンに置いてある椅子に誘導して、聡は自分の膝の上に私を座らせると、そのままわたしをぐいっと手前に引き寄せた。
「………っ」
ぐいと引き寄せられたわたしは上半身を聡に預ける形になって、聡の顔がすぐ隣にあるのをその熱で感じた。
わたしはどうすればいいかわからないで、聡のなすがままになる。
聡はそれから何も言わずに、わたしの耳を噛んだ。
「ぁっ………」
優しくて、でも少し怖いとも思った。
聡の考えていることが、わからなかったから。
…全て心の中を読まれているような気がしたから?
聡「お兄ちゃんじゃなかったの……しおり。」
「ちがっ……ほんとにっ…誤解…………っ」
恐怖と、聡から伝わる緊張感とで、張り裂けそうだった。
耳から、首筋へ、聡の息を感じる。
不思議なくらい長くて静かな時間だった。
これだけ近くで聡を感じていても、それでも、頭の中が別の誰かで既にいっぱいなことに、気を抜けばすぐにでも気づいてしまいそうだった。
「ねえっ…………やだっ聡………っ」
聡「風磨くんのものになるくらいなら、俺のものにしたいのに」
首筋に、チクリと痛みが走った。
それが何なのか、その時のわたしにはまだわからなかったんだ。
「たすけてふうまっ…………」
思わず口を突いて出た言葉にハッとした。
今の聡には1番言っちゃいけないことだったと、すぐに気づいたけどもう手遅れだ。
ゆっくりと首筋から体温が遠のいていく。
急に冷え切ったような聡の体温。
聡は一瞬だけ俯いて、それから曖昧な顔で笑った。
聡「ほらね。………そうなんだよ、しおり」
「ちがっ………!ちがうの…………っ」
うまく返事をできないわたしに聡は問い詰めることはせずに、代わりにそっと手を差し伸べてきた。
わたしはその手に身を預けて立ち上がる。
随分とわたしは身勝手かな。
聡は何事もなかったかのように、いつものように笑ってみせた。
聡「ごはん、作ろっか」
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☆ - 知りたい2【何かあったんじゎないかな】→あったんじゃないかな、 嘘と嘘5【はっと我に帰る】→我に返る だと思います (2019年6月23日 19時) (レス) id: 44d28ad2ed (このIDを非表示/違反報告)
news 唯ちゃん 神(プロフ) - 今見たら再新の漢字違いますね(汗)はい!もう再新された瞬間きますよ!?笑 (2018年3月29日 8時) (レス) id: f16c501272 (このIDを非表示/違反報告)
マゼンダ(プロフ) - news 唯ちゃん 神さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけると更新頑張れます〜!!出来るだけ頻繁に更新目指すのでよかったらチェックしてください(^O^) (2018年3月29日 2時) (レス) id: f72ec701de (このIDを非表示/違反報告)
news 唯ちゃん 神(プロフ) - 最新楽しみに待ってます...ずっと見逃せない展開ばっかで面白いです!! (2018年3月27日 21時) (レス) id: f16c501272 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マゼンダ | 作成日時:2018年3月14日 0時