In The Rain 2 [Fuma.K]

交差 8 ページ34

「え………？」




一歩、二歩と先輩がゆっくり歩いて近づいてくる。

私の目の前に立って、冷たい顔で私を見下ろした。







「風磨が苦しむのは君のせいだから」






私の……………？






「君とまた会ってしまったからだよ。

君が彰磨のものだからだよ？


……風磨は彰磨のものには触れられないのに。」







私がお兄ちゃんのもの？


そうでありたいと願っていたそれが、急に重い鎖のように思える。






「でも……………」






「わからない？

風磨にとって思い出したくない最悪の過去を風磨に思い出させてるのはAちゃんだよ？

Aちゃんが風磨を好きになればなるほど、風磨はその気持ちに応えたい想いと、彰磨に逆らえない想いで苦しめられる」






「……………そんなの」




好きでいることが、風磨を苦しめる？

でも、風磨も、同じ気持ちでいてくれてるんじゃないの？






「俺の、せめてもの償い。

俺が風磨のためにできることは、君を風磨から引き離すこと。」








風磨の、ため？そんなのって。







「……………でも、そしたら風磨は一生お兄ちゃんに囚われ続けちゃう！

いつかは断ち切らなくちゃいけないじゃない！


それにお兄ちゃんは………そんなこと願ってない」






思わず感情的に言葉が飛び出す。

先輩は冷静を崩さずに冷たく笑った。







「さっきの風磨の顔、思い出してみなよ。



………今更遅いんだよ」









それだけ言って先輩は私の肩をすり抜けていった。

雨の音だけがそこに残った。

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