交差 1 ページ26
なんだかいつかとおんなじ光景だ。
雨の中、この空き地にいるところを、風磨が助けてくれたんだっけ。
あの後風磨のベッドに運ばれてて……なんて、ついこないだのことなのに懐かしい。
過去のことなんてなかったらよかったのに。
転校生の風磨と、この街で会うのが初めてだったら、私たちはどうなってたかな。
好きって言葉を素直に受け止めて、今頃笑ってたかな。
雨なんて降らずに、晴れてたのかな。
「……ううっ………っ…………おに…ちゃ…………」
ほんとに帰ってこないんだね。
もう、この空き地はずっと空き地のまんまで、お兄ちゃんは8年前のあの写真のままで、これからも私の中にぽっかり穴を開け続けるんだね。
「………ねえ、風邪、ひくよ」
不意に、雨がやんだ。
目の前に影が落ちて、誰かに差し出された傘の中にいるのだと気づいた。
「ふう…………」
口から出かかった言葉を飲み込む。
風磨が私を助けに来るはずなんて……もうないんだから。
「大丈夫?」
傘を持って優しくしゃがみこむ、その声の主は、聡だった。
.
.
暖かい紅茶を啜る。
白に水色のふちのティーカップ。
水面で揺れる自分の顔がうまく笑えてないのがわかった。
「………おいしい」
聡「ほんと!?よかった〜、あったかいのがいいかなって」
聡は何も聞かなかった。
それでも、あの雨の中でも、私の涙と雨はちゃんと見分けられてしまったようだった。
「……………風磨を」
風磨、と言う名前を出すと、聡はすこしだけ顔をしかめた。
でも、何も言わない。
「風磨を、思い出したの」
聡「思い出した?」
「そう。私は風磨と前に会ったことがあって。
…それもそのはずだよね」
聡「え………?」
きょとんとしている聡に、少しだけ笑いかけて、ティーカップをお皿の上に戻した。
深く深呼吸をする。
「私って、最低なんだよ」
聡「何言って……」
.
「私の探してる"お兄ちゃん"の弟が、風磨だよ」
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☆ - 知りたい2【何かあったんじゎないかな】→あったんじゃないかな、 嘘と嘘5【はっと我に帰る】→我に返る だと思います (2019年6月23日 19時) (レス) id: 44d28ad2ed (このIDを非表示/違反報告)
news 唯ちゃん 神(プロフ) - 今見たら再新の漢字違いますね(汗)はい!もう再新された瞬間きますよ!?笑 (2018年3月29日 8時) (レス) id: f16c501272 (このIDを非表示/違反報告)
マゼンダ(プロフ) - news 唯ちゃん 神さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけると更新頑張れます〜!!出来るだけ頻繁に更新目指すのでよかったらチェックしてください(^O^) (2018年3月29日 2時) (レス) id: f72ec701de (このIDを非表示/違反報告)
news 唯ちゃん 神(プロフ) - 最新楽しみに待ってます...ずっと見逃せない展開ばっかで面白いです!! (2018年3月27日 21時) (レス) id: f16c501272 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マゼンダ | 作成日時:2018年3月14日 0時