In The Rain 2 [Fuma.K]

知りたい 4 ページ16

キッチンから帰ってきた勝利は明らかに困惑の色を浮かべていた。

しおりから俺のことを聞いたんだろう。








俺はもうどう生きるのが正解かわからなかった。

10歳で死んだ風磨？

じゃあ俺は誰なんだ？彰磨か？









……違う。

俺は死んだ風磨のまんま、彰磨に生かされているんだろう。









俺は……………もう、この気持ちを殺すのは無理だ。

あいつの首についたシルシを見て、やっと気付いた。

もうこいつは彰磨のものじゃない。

いつか、誰かのものになるんだ。



俺は今まで、彰磨への罪悪感からこいつを好きになっちゃいけない、そう思ってた。

だけど、違う。

だからこそ。

他の誰かじゃなくて、それは、「誰か」は、俺じゃなきゃいけない。









……………ごめん、彰磨。









お前がいない今、しおりは、やっぱりいつまでもお前のものではいられない。



じゃあもう、許してくれないか。

俺が俺として生きることを、許してくれ。









"僕はもう僕のために生きるのをやめます"









何百、何千回と繰り返す言葉。

いつもいいところで邪魔をする。



俺は俺のために………………








だめだ。永遠にこの繰り返し。


逃げたい、でも、逃げちゃいけない。

泣き叫ぶ母さんの声。俺を恨む目。









「あんたが……あんたがいなければ…！！」









.









全部初めから、俺でよかったのに。

彰磨じゃなくて、風磨でよかったのに、苦しむのは。



やっぱり、みんな思ってるんだろう。

俺が彰磨を殺した、と。






………しおりに、本当のことを言ったら、しおりはなんていうだろうか。








マリと談笑をしているしおりを横目に見る。

そんなことを言ったら、この笑顔をもう2度と見れないだろうか。

前に俺が告げた時のように暗い瞳で、俺を見て、みんなと同じように言うだろうか。


「お前さえいなければ」と、言うだろうか。








.






帰ってきたのが俺だけでごめんな。

彰磨じゃなくて、俺で。

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