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「セコイ？とんでもない。
＿＿＿＿岩田が考えてること、少しも理解できないくせに
偉そうに否定すんな」
自己犠牲し気味の彼が、
唯一 素でいられる相手が私である事が
どれだけ嬉しいことか……
そんな彼自身を…、私の喜びの種を、否定されて黙っていられるほど 冷めた女じゃないんだなぁ。
広臣「じゃあ今回の喧嘩も、A的には意味あっての事だったって言いたいわけ？」
「………」
広臣「ただの冷やかしじゃなくて？」
「冷やかし……？」
広臣「…喧嘩の内容も知らないくせに、岩ちゃんは間違ってないって信じれんのかよ」
「 ＿＿＿信じれるよ。
岩田はイヤな奴だけど、無闇矢鱈に人を傷付けない」
恋は盲目。っていう言葉が頭をよぎる。
岩田は間違っていない。
そう信じたい気持ちの根底に、私が彼を好きだからって事実がある。
でも、もちろん……
親友として築き上げてきた今までの信頼関係もあって。
だとしたら じゃあ隆二が悪い事したのかって聞かれても
そんな事は考えられない。
剛典「……佐野もか」
「へ？」
剛典「お前、ほんと馬鹿
言ってたじゃん、人をムカつかせる天才だって。
その通り、俺。
ヘラヘラ笑ってる隆二さんが、なんか気に食わなくて喧嘩売っただけ。
ちょっと挑発しただけでノッてくれるんだもん。
相当ムカつくオーラ出てるんだろうな〜」
睨み合う私と広臣くんがバカに見えるほど、清々しい言葉と笑顔。
場面と台詞が違えば、皆はこれを 人懐っこさと捉える。
「岩田……」
広臣「お前、竜宮城やめろ」
剛典「それはムリ。見届けなきゃいけないモンがあるんで」
広臣「気味悪い、何考えてるかわかんねーよ」
剛典「なんも考えてないっす」
へらぁ。ゆるい空気が、岩田の周りにまとわり付く。
おかげでそれと対比するように 私に吸い寄せられるのは、“緊張”
今度は広臣くんと殴り合うつもりか、それ程の挑発に見えた。
(ダメだよ岩田…)
この人はきっと、これ以上行ったら本当に 岩田を潰しにかかる。
わかんないけど……
広臣くんにも、大切なものがあって。
今 岩田は、確かにそれに触れていた。
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作者名：とまと野郎
| 作成日時：2015年8月26日 19時
