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翌日。
健二郎「玲於、カキ氷食うかぁ?」
玲於「カキ氷嫌いだし」
嘘つけ。
竜宮城の座敷席の隅で、あぐらをかいている玲於。
今日は朝からこんな感じで、和気あいあいと働く私たちを監視しているようだった。
隆二「座敷わらし?」
直人「たしかに!それだわ」
玲於「……」
広臣「あれ、ちげーよが出ないじゃん」
「聞こえないふりしてるのかな」
いつもと同じメンツがシフトに揃い踏みしているが、今日は週中で天気もあまり良くないためか、竜宮城の客足は緩やかで。
皆、やはり普段見ない私の弟の存在が気になっているようだ。
そんな中、割り箸の補充をしていた広臣が思い出したように聞いてくる。
広臣「“岩さん” ってどんなやつ?」
「はっ?!」
広臣「同い年?格好良いの?」
「なんでよ」
広臣「気になるじゃん、ねー?気になるよね〜」
直人「俺とどっちが格好いい?!そこだけが重要ッ」
健二郎「大人気ないっすわぁ〜」
広臣「隆二も気になるって言ってたよねー」
隆二「んー、……うん」
広臣「 教えろよ 」
じゃねーとバイト代払わねえぞ。と、もはやパワハラなんじゃねーの?というほどの脅し。
「……高校の、同級生で。
顔はー、…まあまあ格好いい、かな?」
玲於「まあまあ?!スゲー格好いいだろっ」
健二郎「おお弟笑」
広臣「スゲー格好いいってよ、弟が」
直人「弟イチオシか〜 でも俺の方が格好いい?」
「あ、はい」
隆二「無理やり言わせてんじゃないっすか、ハハッ」
満足気に頷き、ナスの浅漬けを切り始めた直人さん。その近くで串焼きをくるくる回していた隆二が顔を上げて笑った。
そして広臣くんの質問はまだまだ続く。
広臣「告った?」
「こ、くってませんッ!」
直人「おっ これは怪し〜い」
健二郎「夏どっか遊びに誘ったりしなかったん?」
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作者名:とまと野郎 | 作成日時:2015年7月26日 21時