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次に目を覚ましたのは真夜中なのか。
窓を叩く雨の音は、先ほどよりも強くなっていた。
「「………。」」
私はまた、夢を見ているのだろうか。
「……ねえ、幽霊が出たって、騒いでいい?」
隆二「………」
暗闇の中で隆二が枕元に胡座をかいて座っている。
でも この隆二は悲しい顔も笑顔もしてない。
それに今度は、クーラーの機械風の匂いがした。
隆二「── 顔色悪いって言っただろ。
なんで自分が体調悪いの気付かないのかな」
胡座をかいたまま目を瞑って彼は、そう呟いた。
少しだけ俯いた顔が、仰向けで寝転がる私の直ぐ上にあった。
隆二「 鈍感だよね…… 」
それって、どうゆう意味。
尋ねる前に隆二の目がフッと開いた。
隆二「俺、流石にあの嘘は本気にしてないよ」
「………」
隆二「 “岩田”と祭り行けなかったの、本当はバイトの所為なのに なんでああゆう風に言うの?」
「………」
隆二「無理やりの冗談ではぐらかすほど、茶化されたくないんだ」
「………」
隆二「綺麗な片想いだね」
笑顔がなくて、純粋に怖かった。
吸い込まれそうなほどの目が、私の顔の上に覆いかぶさっていて
滑らかな動作で、淡々と形のいい唇が動く。
隆二「だからなんか、壊したくなった」
…そうか 彼はちょっかいを出した末に こうやって。
なんの前触れもなく、人が一番弱ってる時にネタばらしをするのか。
……悪趣味なやつ。
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作者名:とまと野郎 | 作成日時:2015年7月26日 21時