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その日の晩は珍しく静かな食卓になった。
隆二やELLYはいないし、登坂のおじさんも 自治体で集まって花火大会の打ち上げ。
直己さんまでもが、今夜はライフセーバー仲間と飲むから、と 夕飯をパスしている。
「ごちそうさまでした…」
「あら、食欲ない？」
「んー、暑さにやられてしまって」
「まあまあ…スイカならどう？」
「今日はちょっと」
おばさんが ご飯茶碗によそってくれた白米は何とか食べきった。
しかしおかずにはほとんど手をつけず、何となく胃がものを受け付けない。
健二郎「夏バテかぁ？」
直人「うわ〜俺無縁だわー」
健二郎「ホンマ辛いんっすよ、なんも食えなくなる」
いつもより人が少ないせいか、健二郎さんと直人さんの会話が物凄く遠く感じた。
ボーッとする頭で2人を見ていたら 広臣くんが胡座を組み直して私に少しだけ顔を近付ける。
広臣「大丈夫か？」
「嫉妬でお腹いっぱい」
広臣「素直だな。あんま気にすんなよ」
むっつりスケベ、キミはこんなときに優しいんだね。
はい、と手で口に運ばれたブドウをパクッと食べる。私がモグモグするを確認して、広臣くんもそれを口に含んだ。
広臣「……まあどうにもなんなくなったら、景気付けに俺が親父さんと相撲取ってやるよ」
「は？」
相撲っていきなりなんの話だよ。
広臣「ちったぁ元気でるでしょ」
「親父さんって、誰？」
広臣「……お前の親父さん」
「え、私のパパ？笑
てか、広臣くんがマワし履くの……？そりゃ笑う、アハハッ」
広臣「Aの方が似合いそうだけどね」
「はあ〜？！」
そんな冗談を言ってるうちに、数日前にやり取りされた 私のパパと広臣くんの会話を思い出し
「……、」
ふふっと笑う顔のまま、目を見開いて隣を向いた。
広臣「……(モグモグ)」
「……貴様もタラシか」
広臣「、いや、俺は誰彼構わずいい顔しない」
確かに。
冗談ばかり言う彼だが、その言葉は納得した。
「……悪いがイケメン3人相手にするほどハート強くないよ」
広臣「はいはい」
俺はいーですよ。
と鼻から息を吐いた横顔は、大してなにも意識してないような いつも通りの涼しいものだった。
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作者名：とまと野郎
| 作成日時：2015年7月26日 21時
