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「広臣くんや……」
広臣「ブスの次はババアか」
「ブスって言ったね、ついに言ったね」
広臣「冗談だよ。ちょっと邪魔だから退いて」
相変わらず、広臣くんは言葉加減というものを知らない。
花火大会翌日。
「……」
キッチンに立つ広臣くんに邪魔扱いされて仕方なく食卓に座ると、すぐそばでピチャンピチャンと雨の音。
雨だというのに雨戸は閉まっていない全開の縁側。
広臣「一晩ですげー老け込んでない?」
「そうかしら。」
広臣「ババアあながち間違ってないよ」
「キミは、……憎まれ口から産まれたのかい?」
広臣「いや、おふくろの ピーー から」
「……」
真顔で言うなよ。びっくりするわ。
愕然として また少し頬の筋肉が下へとさがる。
声をあげて彼に立ち向かう元気もなく口を閉ざすと、キッチンから出来立てのチャーシュー麺を2つ持った広臣くんが 私の隣に腰を下ろした。
広臣「よし、食え」
「美味しそう…」
私たち以外誰もいない登坂家で、本日初のご飯。
時刻は11時過ぎ。
他のみんなは、雨で竜宮城が休みということで どこかに出かけてしまった。
「「いただきます」」
意外にも、スープからこだわり持って作られた醤油ベースのチャーシュー麺は
広臣くんが作ったにしては、とても美味しかった。
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作者名:とまと野郎 | 作成日時:2015年7月26日 21時