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どうだろう、自然に聞けたかな。
そう思って喉を鳴らしてしまう時点で 私の表情はきっと不自然で。
しかも、追い打ちをかけるように連続で打ち上がっていた花火が止んだのだ。
耳を指す響きがなくなり、イヤに鮮明な空気が隆二の方から私の方へ流れるように あの言葉が こちらへやってきた。
隆二「 ないしょ。」
そう、言うと思った。
「……タラシ」
隆二「なんの話?」
隆二は、ズルい。
「可愛いって言ったくせに」
肝心な事は言わないで。
人を惑わす不思議な空気の中で、今までどれだけの人を魅了してきたのだろう。
隆二「……俺は、可愛いと思うよ?」
黙ればいいのに。
隆二「 ……────、」
最後のその言葉は、きっとその距離じゃなきゃ、
花火の轟音にかき消されて聞こえたかっただろう。
唇が触れたんじゃないかと言うほど近く、耳元でそっと囁かれた言葉に 私は眩暈がするほどの衝撃を覚えたのだ。
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── その姿を見たら、きっと“岩田”も
Aの事好きになっただろうね。
“ だから、誰にも見られなくて良かったよ ”
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作者名:とまと野郎 | 作成日時:2015年7月26日 21時