検索窓
今日:34 hit、昨日:1 hit、合計:711,705 hit

026 ページ30

.





(………、)




低く漏れた声が 弱く掠れていたのは気のせいなのか。

私は声色で人の気持ちが図れるほど、経験も天性の勘もないはずなのに。




「隆二…」



隆二「ん?」




何かに突き動かされるように、彼を思う言葉が喉元へと上がってくる。




「たぶんだけどね

今日の花火が こんなに綺麗に見えるのは──」





── 隣に キミがいるからかもしれない。



だから訳もわからず、
そんな悲しそうな顔をしないで。

キミが言うほど私の意識は、
どこにも飛ぶ事なく隣を見てるよ。




……なんて詩人のような台詞を吐くなんて、恥ずかしくて かなわない。





「……、」


隆二「なに?」


「ううん、なんて言おうとしたか忘れちゃった」


隆二「うそっ 結構続き気になる内容だったよ?!」

「えへへっ」

隆二「思い出せないの?」

「ちょっと無理、あははっ」

隆二「なんだよ〜」




隆二は本当によく笑う。
誰に対しても同じように、優しい空気で笑う。


そんな彼が、特別に思う人はどんな人だろう。




「ねえ、


隆二は好きな人いるの?」




.

027→←025



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (828 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
989人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:とまと野郎 | 作成日時:2015年7月26日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。