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(………、)
低く漏れた声が 弱く掠れていたのは気のせいなのか。
私は声色で人の気持ちが図れるほど、経験も天性の勘もないはずなのに。
「隆二…」
隆二「ん?」
何かに突き動かされるように、彼を思う言葉が喉元へと上がってくる。
「たぶんだけどね
今日の花火が こんなに綺麗に見えるのは──」
── 隣に キミがいるからかもしれない。
だから訳もわからず、
そんな悲しそうな顔をしないで。
キミが言うほど私の意識は、
どこにも飛ぶ事なく隣を見てるよ。
……なんて詩人のような台詞を吐くなんて、恥ずかしくて かなわない。
「……、」
隆二「なに?」
「ううん、なんて言おうとしたか忘れちゃった」
隆二「うそっ 結構続き気になる内容だったよ?!」
「えへへっ」
隆二「思い出せないの?」
「ちょっと無理、あははっ」
隆二「なんだよ〜」
隆二は本当によく笑う。
誰に対しても同じように、優しい空気で笑う。
そんな彼が、特別に思う人はどんな人だろう。
「ねえ、
隆二は好きな人いるの?」
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作者名:とまと野郎 | 作成日時:2015年7月26日 21時