青い糸2 (ページ24)

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直己「1日限定竜宮城キャスト」

「おおぉぉおぉ。」

花火大会当日。

いつものVパンにオレンジのライフセーバーTシャツではなく、白い竜宮城Tシャツと黒い短パンを履いた直己さん。

たこ焼き串を持って決めポーズする彼を写メに収めた。

直人「じゃん負け屋台とか聞いてねーよ」

「朝イチのあれはそうゆう意味だったんですね」

ELLY「勝っても結局境内警備っすけどね～」

男たちが集まる屋台を見上げれば、看板には “健ちゃんのたこ焼き屋さん” の下にちっちゃく “竜宮城” の文字が付け足されていた。

健二郎「粉と水の割合がちゃうわーー！！」

広臣「袋の通りに作りましたぁ」

健二郎「ならなんでこんな薄くなんねん、これじゃあ上手く焼けんやろ！」

広臣「焼き手の力量が試されるね、頑張れ健ちゃん」

健二郎「だぁぁー！ったくもー」

今日、竜宮城Tシャツを着ているのは

直人さん直己さん健二郎さん広臣くんの四人。

朝一に集合して、広臣くんの掛け声のもと行われたジャンケン大会の負け組達。

直人「そういや隆二は？」

広臣「昼から見てないっすね」

健二郎「さっき女の子に囲まれてたで～」

直人「ええ～っ！」

健二郎「浴衣姿の可愛い子達」

手の平をパーにして直人さんに向き直る健二郎さん。

健二郎「5人。」

直人「まじかよ！いっぺんに相手……うーん」

広臣「手足とコレで、ちょうど5本」

「「「なるほどっ」」」

「……(サイテー)」

昼間っから馬鹿丸出しの男たちからヒッソリと離れる。

今朝までは静かで広々としていた境内が、今は屋台を出す地元の人たちや、浴衣を着た人たちでごった返していて

窮屈とまではいかない人の中を、自然とキョロキョロしながら歩いていた。

(約束、覚えてないのかな)

数時間前から姿をくらましていた隆二の姿を探す。

約束って言っても、サラッと口で言った事だったし。

何てことないもんだったから、忘れてどっか行っちゃったのかもしれない。

“浴衣姿の可愛い子達、5人”

健二郎さんの言葉を思い出してその場でパタリと足を止めた。

「……やめよ。」

きっと何処かでよろしくやってるかもしれないし、
ヘタに探し出して邪魔をしたら申し訳ない。

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