018 ページ22
.
8月になりました。
「花火大会？」
広臣「ああ。自治体に入ってる店は屋台出す事になってて、うちの寺は毎年境内を解放してんだ」
「へえぇぇ〜」
広臣「だからちゃんと雑草抜けよ？」
「…広臣くんはさっきから何してるの？」
「Aがちゃんとやってるか監督してる」
働け。
本殿の段差のところに足を組んで座り、うちわをパタパタさせる彼の方へ砂利を投げた。
平日のお昼前。
竜宮城は直人さん 健二郎さん 隆二に任せて、私と広臣くんはお寺の境内の掃除をしている。
広臣「“岩さん” 呼べばー？」
「掘り返さなくていいから」
広臣「夏祭り行けなくて残念だったんだろー、ならさぁ、」
「 ねえ 」
広臣「……ん？」
「うるさい」
広臣「……」
真顔でそういえば、彼は キツネにつままれたような顔をして言葉を飲み込んだ。
(岩田今ごろ何してるのかな…)
高い青空を見上げてみても、すぐ目の前に彼の顔が浮かんでくるわけでもなく。
忘れてしまいそうになる笑顔を、なんとか思い出そうと目を閉じた。
ああ、会いたい。
＊
隆二「おー、綺麗になった、…のかな？」
ジャリ、ジャリっと 足音が後方から近寄ってきた。
しゃがんだ体勢のまま振り返れば、ビニール袋を持った隆二。
「昼休み？」
隆二「うん、臣と交代で。様子見に来たんだ〜」
「ありがとー」
隆二「これ全部Aが抜いたの？」
「そうだよ。指もげそう」
隆二「夢中になって抜いてたじゃん、後ろからちょっと見てたけど」
見てたのかよ。
鼻歌歌いながら雑草抜いてるところ、見てたのかよ。
隆二「ご飯食べた？」
私のすぐ隣にしゃがみ込み、顔を覗いてくる。
おいイケメン、私の鼻歌聞いたのかよ？
「……まだ」
隆二「だろうと思って、買ってきた」
ビニール袋の中に、ホットドッグが２つ。
隆二「食べよ」
「うん」
私の『きよしのズンドコ節』を聞いてこの態度だとしたら、隆二のハートはかなり強い。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 989人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「芸能人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：とまと野郎
| 作成日時：2015年7月26日 21時
