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腕を掴んで丸椅子に座らせたら、焦る私の顔を見上げて口角を上げる。




隆二「元気戻ったな、ねーちゃん」

「???」




股の間から椅子に手をついて 少し前のめりになっている隆二。

首を傾げる私から視線を横にずらし、ベッドに座る玲於を、腫れ上がった足先から頭のてっぺんまでマジマジと見て






隆二「 喧嘩する相手は選べよ。」

玲於「……え、」

隆二「だっさいのはお前だよ。姉貴の恋愛に口出すくらいなら、もーちょい成長しな」


「どうゆうこと?」






隆二「 ないしょ。」




ナイショ話、ハハッ。と、飄々と言ってのけた隆二の目が、少し左上に泳いだ。

玲於は玲於で、隆二に言われた言葉に息を飲んで眉根を寄せているし。



……これはなんかあるな。

















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「隆二のケガって、本当にバイクで転んだだけ?」





ギクリとELLYの肩が揺れた。




ELLY「…なんで?」

「転んで地面に手ついて擦り剥けたんだよね?」

ELLY「う、うん」


「じゃあなんで手のひらじゃなくて 手の甲に傷があったの?」




ELLY「………」







「……もう、いい。隆二に直接聞く」




人通りの少ない廊下から隆二がいる処置室へと踵を返す。


しかしその足は、焦った声を上げるELLYに止められた。




ELLY「待って、…待って!」




廊下の向こうでナースさんがこちらを見ていた。
だけど、大して揉めるわけでもない私たちを確認すると、フンッと息を吐いて歩いていく。


大きな声を出してごめんなさい、ELLYが。




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作者名:とまと野郎 | 作成日時:2015年7月26日 21時

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