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ここに来て10日が過ぎた頃。
いつもより客引きがよく西日が強くなる前に店じまいを済ませて、いつものように直人さんの運転で寺に帰ってくると
本堂の前に、ポツリと立つ見慣れた姿。
直人「ねえちゃん……弟っ？！」
「はい、弟の玲於です」
てゆうかあなた、何してるの。
「玲於、なに……誰と来たの？」
玲於「1人で来たけど」
「なんで？パパとママは知ってるの？」
玲於「知らないよ、ダンス終わったその足で来た」
確かに玲於が背中に背負うのは、いつもダンスに行くときに持っていくリュック。
“ 1人で来た。”
“ 親は知らない。”
家出少年ですね、これは。
はあ……、
「家に連絡しとくから。電車あるうちに帰りなさい」
玲於「やだ」
「やっ、？！」
玲於「つーかバイトって。…女ねえちゃん1人？」
ジロリ、玲於が睨むように私の後ろに立つ彼らに視線を向けた。
ただでさえ “冷めた目をしている” と勘違いされやすいのに、この子ってば……
「この人たちは 私がお世話になってる民宿で住み込んでるバイトさんと、オーナーの息子さん」
直人「よろしく〜」
健二郎「やっぱ姉弟やなぁ、2人とも色白……あー、でもこう並ぶとAもだいぶ焼けたんちゃう？」
玲於「……チッ」
健二郎「舌打ち？！」
「こら！玲於」
盛大な舌打ちをかました玲於に、健二郎さんが大げさに驚く。
広臣「愛想わる笑」
「ごめんね、ちょっとあの…反抗期で」
玲於「ちげーよ」
「このようになっております。」
このように、と手前に突き出して指し示した両手のひらを 玲於にパシリとはたき落される。
玲於「ねーちゃん、今すぐ帰ろう」
「なーに言ってるの」
直人「シスコンか」
健二郎「シスコンやな」
広臣「シスコンですね」
ああ、波乱の予感です。
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作者名：とまと野郎
| 作成日時：2015年7月26日 21時
