怖気 ページ47
かららっ、という小さな音に
朦朧としていた意識が覚醒する。
─重い。まるで何かに潰されているみたい。
どうにかそれから逃れようと身動ぎすると
冷たい何かに当たっている身体は酷く痛んだ。
慌てて私は目を擦る。
視界が真っ白になってから
私は一体どうしたというのか。
全く思い出せない、ということに怯えつつ
考えを張り巡らせていた。
貫くような爆音と地が揺れるような衝撃。
以前のLabの襲撃に似たそれは、
もしかせずとも爆発だったのではないか。
だとしたら私は爆発に巻き込まれいて
この身にのしかかる物はその瓦礫なのか。
納得出来る答えを導き出すと、
幾分か混乱していた頭が落ち着いた。
私は地を這い、へばりついているのだろうか。
感覚だけだったが、みちみちと肉が裂けて
何か温かい物が流れ出しているのが分かった。
寒いと感じるのはそれだけ大量に
熱が失われているからなのだろう。
身を割きながらも何とか残骸から抜け出す。
地べたからでは分からなかったが
壁の一部が吹き飛び、その形は失せていた。
何ともまぁ、恐ろしい破壊力だ。
あっという間に塞がった傷口を確認し、
私は他の3人の捜索にかかる。
どこか近くにいるかも、なんて思いながら
ゆっくりと歩いていると
足元からくぐもったような呻き声がした。
「─Sion?」
慌ててしゃがむと、そこにいたのはCharaで。
私のように上には瓦礫が覆いかぶさっていた。
幸いにもその破片は小さなものばかりで
大事に至る出血にはなってはいなかった。
私はそれを払い、Charaに手を貸す。
何とか起き上がって広い場所へと歩いていると
そこには4つの影があった。
Caterinaに傷がないのは
博士が守っていたからだろうか。
その場にいる2人は自身の正面に立つ
2人を睨んでいるようにも見えた。
「どうして、ここに。」
微かにCharaの口から零れた言葉。
その言葉に気がついたのか、
その2人はこちらを振り向いて
怒りで爛々と輝かせた瞳を私達に向けた。
「─お前さん方が、
怪しいことを企んでるようだったからな。」
澄み渡るような青と金の瞳は、
その身から滾々と溢れる魔力で
本来とは違う異様な色彩を放っている。
畏怖のようなものすら身に覚えるようだった。
地の底から響くようなその低い声の持ち主は
今、私が会いたくない2人である、
─SansとFriskだった。
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クロセ(プロフ) - はじめまして!続きを楽しみにしてます! (2020年6月2日 23時) (レス) id: c80b4d78c0 (このIDを非表示/違反報告)
きりにゃー - ロイヤルガードさん、タイミングう! (2020年3月4日 1時) (レス) id: 9df501902d (このIDを非表示/違反報告)
イザヨイ - 名前カタカナになってますが十六夜です!(汗) (2020年2月4日 17時) (レス) id: 447a13bfc7 (このIDを非表示/違反報告)
イザヨイ - いえいえ!大丈夫ですよ!仕事が忙しくこちらも返信できずすいません!時間があるたびに見に来ます!!((オイ (2020年2月4日 17時) (レス) id: 447a13bfc7 (このIDを非表示/違反報告)
零ノ花(プロフ) - 十六夜さん» 返信遅くなってしまいすみません。今時期は様々な用事がありロクに更新出来ずにいます。途中で作品を放るつもりは更々ありませんのでお時間が空いている時にでもまたいらしてください。 (2020年1月8日 18時) (レス) id: fd8ff30996 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零ノ花 | 作成日時:2019年7月15日 14時