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優しい嘯き ページ40

「それともう1つ。この前の話だ。
お前……王子を蘇生させるって
まさかアイツと同じことをするのか?」

Undyneの腕が私に伸びる。
抵抗せず受け入れた手は私の肩を強く掴んだ。
私の答えを待つUndyneは、
急かすように答えろ、と低く唸った。

「─そうだけど、何か疑問でも?」

Undyneの金色の瞳が揺れる。
その瞬間私は隣で緩やかに流れていた川へと
身体を突き飛ばされていた。

幸いにも浅く、膝丈しかない水は私の全身を
濡らすだけで溺れされることは無かった。
何をするんだ、と声を上げる気はない。
それも、Undyneがなぜこの行動に出たか
幾らか察しがついていたからだった。

「アイツの時は近しい入れ物に
元々の所有者のSoulを入れたんだな?
なら王子は…Asrielのsoulはどうなるんだ。」

物事に犠牲は付き物、とは言うが
それが苦になるのなら知る必要はないと思う。
彼女は仲間思いなのだ。
Monster達を守る役目も担うUndyneに、
仲間が欠けますよ、など言う気は起きない。
目敏く気づかれてしまったのは痛手だが、
失うのが誰なのかすら彼女は知らないのだ。
どうにでも隠すことは出来る。
私は運命を変える為に何だってしてやるのだ。

「擬似的なSoulを作るよ。
本人の想い入れのある物や
意志の篭った場所なんかを使って
その場所に身体を置いて定着させるんだ。
Charaが姿を今まで見せなかったのも、
上手く定着させる為にRuinsにいたからだな。」

こんな嘘でどうだろうか。
Charaが姿を見せていなかったのは本当だし
こんなもので信じてくれればいいのだが。

「…誰も欠けるなんてことは、ないな?」

Undyneの手に魔法の槍が握られる。
ああ、ここで多分なんて言えば
Soulごと身体を貫かれてしまうだろうな。
死にはしないだろうけれど、
死ぬに等しい痛みに襲われるだろう。

「─私が手を下すことはないよ。」

これは本当のことだ。
これを言われたUndyneからすれば、
他の誰かが手を下すと取るかもしれない。
実際そうなのだ。私が手を下すことは無い。
これで私は標的を別の者へ
すり替える事が出来るわけで。

「─そうか。」

その一言を残し、Undyneは去った。
後には冷えきった私だけが、
Waterfallにぽつりと残された。

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クロセ(プロフ) - はじめまして!続きを楽しみにしてます! (2020年6月2日 23時) (レス) id: c80b4d78c0 (このIDを非表示/違反報告)
きりにゃー - ロイヤルガードさん、タイミングう! (2020年3月4日 1時) (レス) id: 9df501902d (このIDを非表示/違反報告)
イザヨイ - 名前カタカナになってますが十六夜です!(汗) (2020年2月4日 17時) (レス) id: 447a13bfc7 (このIDを非表示/違反報告)
イザヨイ - いえいえ!大丈夫ですよ!仕事が忙しくこちらも返信できずすいません!時間があるたびに見に来ます!!((オイ (2020年2月4日 17時) (レス) id: 447a13bfc7 (このIDを非表示/違反報告)
零ノ花(プロフ) - 十六夜さん» 返信遅くなってしまいすみません。今時期は様々な用事がありロクに更新出来ずにいます。途中で作品を放るつもりは更々ありませんのでお時間が空いている時にでもまたいらしてください。 (2020年1月8日 18時) (レス) id: fd8ff30996 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:零ノ花 | 作成日時:2019年7月15日 14時

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