自己超越 ページ33
「ここなら大丈夫、かな?」
特殊なキーが無ければ入れないLabの一室にて
息を切らしたCharaがそう言った。
…彼がそこまで息を切らした原因は私にある。
Labの中は、とにかく広い。
体力が少なくすぐに疲れてしまう私を
Charaは態々おぶってくれていたのだ。
…唯でさえ貧弱だというのに、
私は持久力まで持ち合わせていなかった。
「ご、ごめん。重かったろ?」
「いや、大丈夫。
─それよりSion、さっきので怪我してない?」
さっきのとは?と首を傾げ、漸く思い出す。
どうやったのかは知らないが
Charaが扉を破壊した時の事だろう。
「怪我はしてない…けど
あれ、どうやって壊したんだ?」
そっちの方が怪我してんじゃないのか?と
訝しむようにCharaを見る。
その視線に気付いたのか、当の本人は苦笑しながら
僕は平気だよ、と返事を返してきた。
「あれは単純に力技さ。
あの扉、結構酸化が進んでたみたいでね
見た目に反して脆かったから簡単に壊せたんだ。」
あれくらいなら僕にも壊せる、と
自信気に胸を張ってみせるChara。
物を壊しちゃ駄目だろ、と言いたかったが
Charaのその行動で助かっているので口を噤む。
「…助けてくれた事には感謝するけど、
もう自分が傷付くようなマネはするなよ。
今回はたまたま怪我しなかっただけだろ?
Charaが傷付くのは見たくないよ。」
すがるようにローブの袖を引くと
困ったようにCharaは笑って、
「僕は怪我したっていいんだよ。
君が傷付かなければ、傷付きさえしなければ。
……僕は、それでいいんだ。」
…なこかに満ちたような表情でそう呟いた。
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クロセ(プロフ) - はじめまして!続きを楽しみにしてます! (2020年6月2日 23時) (レス) id: c80b4d78c0 (このIDを非表示/違反報告)
きりにゃー - ロイヤルガードさん、タイミングう! (2020年3月4日 1時) (レス) id: 9df501902d (このIDを非表示/違反報告)
イザヨイ - 名前カタカナになってますが十六夜です!(汗) (2020年2月4日 17時) (レス) id: 447a13bfc7 (このIDを非表示/違反報告)
イザヨイ - いえいえ!大丈夫ですよ!仕事が忙しくこちらも返信できずすいません!時間があるたびに見に来ます!!((オイ (2020年2月4日 17時) (レス) id: 447a13bfc7 (このIDを非表示/違反報告)
零ノ花(プロフ) - 十六夜さん» 返信遅くなってしまいすみません。今時期は様々な用事がありロクに更新出来ずにいます。途中で作品を放るつもりは更々ありませんのでお時間が空いている時にでもまたいらしてください。 (2020年1月8日 18時) (レス) id: fd8ff30996 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零ノ花 | 作成日時:2019年7月15日 14時