君にこの歌を (ページ10)

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夢は… ページ10

研修生：ありがとうございました～！

先程のレッスンが終わり研修生がゾロゾロとレッスン室から出てきた。

滝沢：作間！

その中でも1番最初に出てきた彼に社長が声をかけた。

滝沢：作間。グループ組まないか？

作間：グループ…ですか？

髙橋：そうっ！グループ！

作間：それって…有名になったりしますか？

有名になれるかはわからないが、彼の実力ならファンもすぐつきそうだし…

髙橋：なれるよ！！

アイドルの事務所に所属している子なんて有名になりたくて入っているのだと思いあがっていた俺は元気よくこんなことを言った。

しかし、彼は

作間：それじゃ。無理です。

髙橋：、、、、、え？有名になりたくないんですか？

作間：え？そりゃもちろん。

髙橋：なんで？じゃあなんで事務所に…

作間：ん？あぁ。お金が必要なの。まぁ、うちはそんなに貧乏じゃないけど大学進学くらいのお金は自分で稼ぎたいし。

髙橋：それだったらアイドルじゃなくても…

作間：だって俺中3だよ？アルバイトできないじゃん。

髙橋：アイドルをアルバイトに…？

作間：え？それ以外になんなの？え？もしかして将来アイドルでご飯食べようとか思ってるわけ？

髙橋：そりゃもちろん。

そうに俺が言うと、ハハッ！と彼は高笑いした。

作間：お兄さん。人生なめすぎじゃない？そんなん一握りだよ。一握り。いい大学行っていい企業に就職することが1番だから。

髙橋：いや…でも。ほらっ！夢見ることは大切だと思うし…

作間：うん。そりゃ大切だね。

髙橋：でしょ！？だから、

作間：でも、それがアイドルである必要性は？

髙橋：それは…その。

作間：ない。でしょ？

アイドルで夢を見る必要はない？確かにそうかもしれない…でも、本当に？

俺は何のためにアイドルになろうとしてるんだ？

髙橋：わかんない…

作間：？

髙橋：わかんない…わかんない…けど！アイドルってみんなに夢を与える職業だと思うんだ。アイドルって職業は居ても居なくても生活に困ることはないけど、それでも！誰かの助けになる。誰かの夢を作ることができる！それって悪くないんじゃないかな？

俺は必死で彼に問いかけた。

作間：へぇ。おもしろいね。

え？

作間：いいよ。グループ組んであげる。

髙橋：本当に！？

作間：うん笑。

髙橋：じゃあ！

この時はまだ、彼の真意に気づいていなかった…