君にこの歌を (ページ45)

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カクテルページ45

井上：ハァッ！ハァッ…ハァッ。

地獄のような場所から逃げてきて
やっと巻くことができた。

そして俺がやってきたのは…

井上：お久しぶりです。

マスター：井上くん。久しぶり。

あのバーだった。

でも今日は…

マスター：井上くんは宮本と仲よかったよね。ごめんね～。今買い出し中で。なんか飲む？カクテルオススメあるよ。

マスターはそう俺に言ってくる。

そうか、マスターは俺のこと知らないし未成年ってことも気付いていない。

井上：オ、ススメのカクテルお願いします…

マスター：はい。どうぞ。

今、これを飲んだら確実にHiHiは終わる。けど、

この苦しみから抜け出せるならどうでもいいと思う自分もいて胸が苦しくなる。

井上：、、、いただきます。

散々悩んだ末にアイドル井上瑞稀と別れる決意をする。

カクテルのグラスに手をかけて口に持っていく。

井上：、、、っ、

ダメだ。あと一歩なのに口に含むことができなかった。

マスター：あれ？好みじゃなかった？

そうじゃない。俺はフルフルと首を横に振る。

もう終わりにするんだ。そう決めたのに自然と涙が出てきてグラスを置く。

マスターは不思議そうに俺のことを眺めてきて申し訳ない気持ちになる。

しばらくカクテルと睨めっこしていた時だ。

宮本：マスターただいま～！これでおつまみ作れますよって…瑞稀くん？

俺のことを知っている宮本さんが帰ってきてこちらに驚きの視線を向ける。

宮本：マスター。これ、この子飲んでないよね？

カクテルを指さしながら震えた声で言う。

マスター：飲んでないよ。なんかカクテル出したら泣き出しちゃって

なんか悪いことしたかなぁ。ごめんね。とマスターは言う。

マスターが悪いわけじゃないからひたすらフルフルと首を横に振る。

宮本：わかった。はい！マスターはおつまみ作りに行って！！

マスター：え？なんでなんで！

宮本：ストック無くなったから作らなきゃなぁ。でも材料ないなぁって私に買い物行ってこいオーラ出してパシリにしたのはどこの誰ですか？早く行ってきてください！

そう言いながら宮本さんがマスターを追い出す。

そして俺の前に立って。

井上：え、ちょ！

俺の手を強く引っ張った。