ー涼 ページ23
つづき。
浴衣を身に纏った瑞稀はお祭り特有の美しさと儚さが相待った輝きを放っていて思わず目を逸らしてしまう。
森本：かわいい！！
松村：中々いいんじゃないか。
大絶賛の2人を前に俺らは何を言うでもなく俯いていた。
松村：そうだ。橋本も着て行けよ。
橋本：えっ！
井上：そうだよ！着よ？涼も！
確かにこの恥ずかしい気持ちも、一緒に浴衣を着れば少し解消されるかもしれない。
橋本：、、、、、。
井上：、、、、、。
松村先生に勧められてお揃いの浴衣を着たはいいものの、恥ずかしくて目さえ合わせられない。
瑞稀がこんなに綺麗だなんて知らなかった。
あの時俺は瑞稀の後ろ姿から感じる不幸に引き寄せられているのだと思った。
自分と同じ悩みを抱えているって。
けれど違くて、瑞稀はひたすらに生きたいと願っていた。
だって俺は、瑞稀と生きたいから。
いつまでだってずっと。
井上：、、、涼？
橋本：ん？何？瑞稀。
気がつくと空は暗くなってきていた。
橋本：よしっ！とうちゃーく！
屋上まで瑞稀を背負って登る。
するとそこにはいくつもベンチがあってそこに瑞稀を座らせた。
本当はエレベーターがあるからあれに乗せればいいんだけど、混んでいたから階段で来た。
今日、この日にお祭りをやる理由。
パーンっとどこかで破裂音が鳴って空を見上げると綺麗な光が空を包んだ。
井上：綺麗、、、
隣の瑞稀はふと呟くと俺の手をギュッと握った。
橋本：死ぬなよ。
気がついたら溢れていた言葉。
どうせなら聞こえなければいいのに。
強く握り返してくる。
井上：、、、涼の寿命ちょうだいよ。一緒に死にたい。
言ったあとにふとした表情を向ける。
井上：冗談。涼は俺の分まで生きて。
花火が赤く光って青を纏いながら散って行った。
橋本：天国でも、一緒になりたいな。
そんな願い、叶いっこないんだけどね。
ポタと１つ涙が手の甲に落ちた。
井上：死にたくないなぁ、、、
ボソッと呟かれた言葉は花火が大きな音を立てて消し去って行く。
橋本：いつか、一緒にお祭り行きたいね。
井上：いつかじゃない。行こうよ。絶対。
微笑んだ彼の頬は出会った時よりも少しだけ痩せたように感じた。
涙が溢れた。
井上：泣かないでよ。
橋本：ごめん。
井上：死ぬの、怖くなっちゃうじゃん。
橋本：、、、本当ごめん。
井上：怖くなくしてよ。涼。
花火が
俺らはその下で初めて唇を重ねあった。
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わーちゃん - 面白い (2022年3月9日 19時) (
レス) @page2 id: 3919d3be97 (このIDを非表示/違反報告)
IRA(プロフ) - 面白かったです！更新楽しみにしてます！ (2021年11月23日 9時) (レス) @page20 id: ec14ef5c84 (このIDを非表示/違反報告)
しずく - すごく面白かったです。更新を楽しみにしています。 (2021年3月5日 20時) (レス) id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
き〜 - 続きみたいです！ 更新楽しみにしてます！ (2021年1月30日 19時) (レス) id: be0313a077 (このIDを非表示/違反報告)
あおいろ(プロフ) - パセリまみれさん» 慎太郎くんにさせていただきました！いつもコメントありがとうございます！！ (2020年8月13日 15時) (レス) id: 7095de8d74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あおいろ x他1人 | 作成日時：2020年7月22日 19時
