カクテル（JUMP×JUMP） (ページ7)

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クラスのみんなの恋バナについていけないのは、
運動会のリレーを誰より頑張りたいのは、
一日の楽しみが朝と夕方だけなのは、

俺の心の真ん中にいつだっていのちゃんが居るからだ。
そう気付いてから、距離を縮めるのが怖くて仕方なかったのに。

久しぶりに登下校以外で会ったいのちゃんは、今俺の部屋で俺の腕の中にいる。

だけど、恐る恐る口を開いたいのちゃんから語られたのは、思ってもみないことだった。

「あのね、俺今日同じクラスのだいちゃんて子に告白したの」

「…へっ！？」

俺の素っ頓狂な声に、今にも消えそうに俺にしがみついていたいのちゃんがひょっこり顔を上げた。

「なに、その反応…」

「いや、ゴメン、はじめていのちゃんとこんな話するなって…ハハ」

17歳の健全な男子なら当たり前のこと。
クラスのやつらもみんな愛だの恋だの言っている。
だけどいのちゃんからそんなの聞いた事が無かったから…

久しぶりにこんな近くでみたいのちゃんはやっぱり綺麗だし、誘われたのが嬉しくて浮かれてた俺に天罰が下ったのだろうか。

ていうか、"だいちゃん"て誰。

「だいちゃんは明るくて可愛くて、みんなの人気者で…出席番号が近くて仲良くなったの。」

「へー…」

俺の心の声なんて丸聞こえじゃないかと疑うほど、ピンポイントにだいちゃんて子のことを話してくれる。

「だいちゃんと話してると楽しくて…もっと知りたくて…それで今日、掃除の時間にちょうど二人きりになって。
思い切って好きだって告白したの、そしたら…」

いのちゃんは俺のシャツをギュッと握りしめながら睫毛を震わせた。

「好きな人いるから、ごめんって言われちゃった。」

「…そっか」

心の中でそっとガッツポーズ。だけどいのちゃんの、好きな子の悲しそうな顔は切なくて苦しい。

「そんなに、好きだったの？その、だいちゃんて子」

「…それが、俺、告白しておきながらよくわかんなくて。だからここに来たの」

ずっと俯いていたいのちゃんがそっと俺をのぞき込む。

「ね、ひかるは知ってる？恋ってどんな気持ちか」

俺の腕の中で、そんな顔されたらたまったもんじゃない。今まで積み上げてきた我慢が、ガラガラと崩れ落ちる音がした。

「…わかるよ、少しだけど。
その人を前にすると、心臓がドキドキして…触れたくて堪らなくなる…そんな気持ちかな？」

「…い、居るんだ…好きな子」

「教えてあげよっか？」