カクテル（JUMP×JUMP） (ページ2)

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家に着くまで会話はほとんどしなかった。
自分から離れた癖に、俺の知らないいのちゃんのことを聞くのが怖かったんだ。

…久しぶりに足を踏み入れたこの部屋は、あの日からなにひとつ変わらない。
むしろなにか一つでも変わっていてくれれば、なんて無責任な感情が頭をよぎる。

…後悔なんて無いと思ってた。
だけど、やっぱり忘れられるわけなかったんだ。

「あ、いやっ…やぁ…っ、やだ、ぁ」

吸い寄せられるみたいに、細くて白い身体を無我夢中で貪った。
嫌だ嫌だと繰り返すいのちゃんを無視して、うるさい口は自分の唇で塞ぐ。

「…は、ぁ、ン、っ」

久しぶりのいのちゃんのナカは熱くて。
固く閉じた蕾と強ばる身体に、まだ俺のモノだと勝手な独占欲が湧き上がる。

「やだ…っ、やぁ、うっ…うぅ」
「泣かないで…」

苦しそうに歪む顔。
零れ落ちる涙を舌で掬う。

「…出てったくせに、っ、」
「うん」
「俺のこと…嫌いな大ちゃんなんて、大嫌い…っ、」

別れ話をしてから最後の日まで、いのちゃんは何も言わなかった。
だからいのちゃんが何を思ってるかなんて、馬鹿な俺にはわからなかったんだ。

あの日と何も変わらないこの部屋が、何よりいのちゃんの気持ちを物語ってる気がした。

ごめん、いのちゃん。一人にしてごめんね…

「…ぁ、だいちゃ…すき…っ、」
「うん…」

ふたりの呼吸が混ざりあった部屋は、どこか懐かしい甘い香りがした。

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┈┈┈┈┈┈

┈┈┈

「ん…」

肌寒さで目が覚めた。
隣に温もりはなく、俺はベッドにただ一人で。

あぁ、やっぱり夢だったんだって。
あの日から何も変わってない自分を恨む。

諦めてもう一度眠ろうとしたところに、懐かしい声がした。

「おはよ、いのちゃん」

ねぼすけな大ちゃんが俺より先に起きてて。
驚いて目を向ければ、彼は太陽みたいに笑った。

「まだ育ててたんだね。」

そう言って、ベランダのチューリップに水をあげている。

「…ごめんね、いのちゃん。俺なんもわかってなかった。」
「……」
「また、一緒に育ててもいい？」
「…！それって、」
「うん。いのちゃんとやり直したい。ダメかな？」

思わずベッドから飛び出して抱きついた。
ほんとに夢じゃないか確かめたかったから。

「も、そんな泣くなよ」
「だって…うぅ、」
「もう一人にしないから。ね？」

涙が止まるまで、大ちゃんはそばに居てくれて。
俺たちは寄り添ってベランダを眺め続けた。

Fin.