ジュース（JUMP×JUMP）

ブルーメアリー(ym×in) ページ5

※リアル設定







side ym







「やまだぁ〜クッション取って」




ソファの前に腰掛け、テレビに見入っているいのおちゃんが俺に言う。



はい、と渡してやると目線はテレビのまま、「ありがとう〜」と礼を言い、背中に挟んだ。



どんなに小さなことでも、いのおちゃんはしてもらったら感謝の言葉を忘れない。



きっとお腹が空いているんだろうけど、勿体ないのか目の前のミニトマトをできるだけゆっくり食べようとしているのが可愛い。



俺はテレビに映るのが自分の主演ドラマだからというのもあり、先程からいのおちゃんばかり見ている。



この家ではいのおちゃんのためだけに買うトマト。



気が付いたらすぐに無くなるのでそれを言うといつも「だって美味いんだもん、山田も食べる？」と、俺が嫌いなことを知ってるのに差し出してくる。



しなやかな指で口元に運んでくれるというのにどうしても食べる気になれない。



だけど可愛らしいお口に赤い実がポンポン吸い込まれていくのが見てるだけで好きだからいつもたくさん用意している。



「あぁ〜可愛いなぁセミオくん。あ、山田、ティッシュ取って〜」



「はいよ」



またいのおちゃんはありがとう〜と言いながら口元についたトマトの果汁を拭った。



それがなんだか色っぽくて目をそらす。



…久しぶりにゆっくり一緒にいられる日。



2人で過ごす何気ない時間を大切にしたいと思うのに、仕草ひとつでドキッとしてしまう。



そんなことお構い無しのいのおちゃんは相変わらず画面に釘付けなまま、またしても俺を呼ぶ。



「ねぇ山田、お水取ってきて」



「……はいはい」



ワガママなお姫様め、ブツブツ言いながらも結局は言う通りにしてしまうんだけど。



「ありがとう〜……ん、美味い！山田も飲む？」



そう聞いておきながら、なおもいのおちゃんの視線はテレビだった。



テレビの自分にも嫉妬しなきゃいけないなんて、贅沢な悩みすぎて嫌になる。



「…もう限界。」

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