＊３＊ ページ27
「出来ました」
「おお、ありがとう！」
約二分弱で縫い付けてくれた。
「お時間取らせてすみませんでした」ﾍﾟｺ
「いやいや。こちらこそ登校中やったのに手間取らせて申し訳無いわ」
彼女はフルフルと頭を振る。
そして「それじゃあ」と会釈して改札口へ向かおうとしたので、咄嗟に腕を掴んでしまった。
「……えっ？」
「あっ、ごめんっ！！」ﾊﾟｯ
即座に手を離した。
咄嗟に掴んだりしたらそれこそセク ハラになりかねんよな…！
……ヤバいヤバい。
俺は深呼吸して、胸ポケットからケースを取り出し、中から一枚名刺を引き抜く。
「これ、」
「……？」ｷｮﾄ
益々キョトンとする彼女の前に名刺を差し出した。
「ボタン直して貰ったお礼がしたいんやけど、俺の連絡先教えるから良かったら電話してや」
「そんなっ、私そういうつもりでやった訳じゃ…」ｱｾ
「判っとるって。ただ俺がそうしたいだけやから、な？」
「……でも、」
「取り敢えず名刺だけでも受け取ってくれへん？」
「……ぁ、はい…」ｽｯ
「気にせんといつでも掛けてきてな」
「……はい」
「じゃ、いくわ。遅刻せえへんよう気を付けてな」
「…ありがとうございます。お兄さんも気を付けて下さいね！」ﾌﾘﾌﾘ
小さな手で俺に手を振る仕草が余りにも可愛くて、キュンとした。
学生時代でさえこんなにもキュンと感じた事なんて無かったのに…。不思議やな…。
＊
「どしたん？さっきから腕の袖見ながらニヤニヤして〜」
「えっ？俺、ニヤニヤしとった？」
「おん。出社してきてからずーっと」
「……マジ？」
同僚の丸ちゃんに言われて、自分が無意識にそうやっていた事に驚いた。
「何があったん〜？教えなさいよ〜」
「別に大した事じゃ…」ﾍﾗ
「も〜、気になるやん！昼飯奢るから！」
「カツ丼とカレーライス」
「わかっ…「と、ギョーザ！」
「はいはい。幾らでも頼んでええよ」
「やった♪」
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作者名：あおねこ | 作成日時：2016年6月15日 1時
