スノスト 病気怪我 短編から〜 11

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けれどそんなことしてられたのも最初だけ




我慢とか、隠すとかそんなの言ってられないくらい

咳はどんどんどんどん悪化していって



ついには息苦しささえも感じるようになってきて。




全然空気が取り込めない



かといって下手に息を沢山吸おうとすると

余計に刺激されるのか



酷い時には10分近く、咳が止まらないなんてこともざらにあった。





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全身に違和感を感じて目が覚めた朝。




『ｹﾞﾎｹﾞﾎｯ、ｯｹﾎｯ、ｯｹﾞﾎｹﾞﾎｯｹﾞﾎｯ』


熱っぽい、そう自覚できた頃にはすでに微熱なんてもんじゃなくて



ベッドから起き上がろうにも起き上がれずに

ただただ苦しさで涙が流れていく。




自分がこんなことになってるのが怖くって



オフなのにごめんなんて、1ミリも思う暇もなく

連絡先から"は行"を探した。




【もしもし、どしたぁ？】



ワンコールで聞こえてくる間延びした声



『ｹﾞﾎｹﾞﾎｯｹﾞﾎｯ、ふっ、ｹﾞﾎｹﾞﾎｯ、ｹﾞﾎｯ、』



【ちょ、大丈夫？ラウ？】





『たすっ、ｹﾞﾎｹﾞﾎｹﾞﾎｯ、』




助けて、


そう言いたいのに、言えなくて。





だけどちゃんと汲み取ってくれたのか





すぐ行くから、電話はこのままね？




ふっかさんはそう言った。







『ｹﾞﾎｹﾞﾎｹﾞﾎｯ、ｹﾞﾎｹﾞﾎｯ、』




ずっと全身に力が入ってるからか


身体はもうヘトヘトで




休みたいよって主張してくるのに


意識を手放す前に咳き込んで目が覚めて




こんな地獄のような堂々巡りに




生理的な涙とはまた別の


生暖かい水が一筋流れ落ちていった。

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