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あれから、私はあの絵をオーナーから取り戻した。

電話で必死に懇願する私に、オーナーは困ったように慌てていた。


尋常じゃない、と思われたのか、絵は案外すぐに手元に戻ってきた。





自分の絵なのに、すでにもうこれは自分のものじゃなかった。


私さえも持っていてはいけない、「平野紫耀」にだけ、これを持っていて欲しいと思った。




いてもたってもいられず、私は絵を取り戻したその日に「平野紫耀」に電話をした。



コール音を聞く時間をこんなに焦ったく感じたのは初めてだった。



かけてから、時計を見てしまったと思った。夜の7時。夕食どきに電話をするなんて無作法だと思われないだろうか。




しかしそんな心配も彼の声を聞いたらどこかに散ってしまった。







「もしもし?Aさんですか?」

「はい、Aです。」


下の名前で名乗った自分が自分じゃないみたいで、くすぐったい。


電話越しに聞く掠れた声が、それに呼ばれたのが、自分の名前だということが信じられなかった。





「平野紫耀」は、少し遠いところで、話し出した。






「電話、びっくりしました、かかってこおへんかもって思ってたから」

「え?連絡するって言ってたのに」

「そうなんやけど、なんか、なんとなく。嫌われたんちゃうかなって、この前思ったから」





なぜそんなことを思ったんだろう。
嫌うどころか、今の私は「平野紫耀」にこれほど焦がれているのに。






「そんなことない、ほんまに、全然」

「…よかった。電話くれたってことは、絵のこと?」

「はい。無事、取り戻せて。平野さんに、あげます」

「あの、お金、いくらですか?払います」

「あ…いらないです、お金やないから」

「えっ??そんなんだめですって、前の持ち主の人もちゃんとAさんから買ったんでしょ?」

「そうやけど、平野さんはいいです。お金とか、そういうんじゃなくて、ただ私が持っててほしいだけやから」

「持っててほしい…俺に?」

「はい。」





自分の心臓の音が鼓膜で鳴っている。

電話で繋がっている、「平野紫耀」と私が。





違う場所で、同じ格好で、電話を耳に当てて、話している。

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作者名:琉叶 | 作成日時:2019年3月24日 1時

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