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「たぶんなぁ、お前は絶対ショウのこと気に入ると思うわ」
永瀬は居酒屋にたどり着くまでに何度もそう言った。
その度にニタニタと笑うから、まるでお前のことは全部お見通しや、と言われてるみたいで後半は相槌を打つのも面倒になった。
「なにしてる人なんやっけ」
「ダンサーやで。俺と同じダンススクール通ってんねん」
「へぇー。上手い?」
「おん。めっちゃ。ガキの頃から習ってるゆーてた」
ガキの頃から、という言葉にだけ永瀬のなんとも言えない苦味のようなものが含まれている気がした。もしかしたら、そのダンススクールとやらで永瀬とその人はライバルなのかもしれない。
「ここ。」
連れられた居酒屋は、駅前の雑多な雰囲気の中で賑わっていて、地元に昔から根付いている店らしかった。
空いているテーブルに座って、とりあえずビールを頼む。
苦いだけの黄色い液体をいつから美味しいと思って飲むようになったんだろうとか、なんで気が抜けただけであれはあんなにまずいんやろう、とかくだらない話を延々とする。
「あ、もうすぐ来るって。」
スマホの画面をちらっと見た永瀬が嬉しそうに言った。
私が気に入ろうと気に入らまいと、きっと永瀬にとって「ショウ」はかなりのお気に入りなんだろう。
「永瀬、その人のことほんまに好きなんやな」
「ショウ?…おん。才能の塊でたまにめっちゃムカつくけどな(笑)」
「ダンスの?」
「ダンスだけやなくて、いろいろ全般。器用っていうんかな。初めてのことでも、初めて以上になんでもこなせんねん。」
「へぇー、永瀬とは大違いやな」
「うっさいわ。」
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ふてぃか(プロフ) - 忙しいと思いますが更新待ってます ! (2019年8月16日 17時) (レス) id: 6381a07ad2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:琉叶 | 作成日時:2019年3月24日 1時